How did you feel at your first kiss?
二人で観ていたDVDは歴史映画で、主人公が夜襲に合うシーンで、鳳は宍戸の耳元に囁いた。
「ああいうベッド、欲しくない?」
「いらねえ」
「どうして?」
「………んな仰々しいとこで寝れるかよ」
画面に映っているのは、天蓋つきの西洋式ベッドだ。
宍戸を背後から抱き込んで座っている鳳は、確かにうちのとは随分違いますよねと自分が寄りかかっている自室のベッドを流し見た。
そうしている間も、鳳の両腕は宍戸の薄い腹部にまわっている。
華奢な身体をしっかりと抱きこみ、互いの身体をぴったりと密着させている。
宍戸に欠片も嫌がられることなく、全てを許される、この距離の近さが鳳は好きで。
時々こうして二人でDVDを観る。
「なあ、長太郎」
「はい」
「あのベッド、なんかおかしくねえか?」
「何がですか?」
細い首筋にかかる襟足に目を眇め、鳳は宍戸の後ろ髪に唇を埋める。
最初にこの体勢でDVDを観た時。
宍戸は随分と落ち着き無かったものだが、今ではすっかりと鳳の好きなようにさせてくれている。
DVDが観たいだけじゃなくて。
くっつきたい。
宍戸さんと。
そう、鳳が、何の取り繕いもなく口にした言葉に、宍戸はあっさりこの慣習を受け入れた。
どちらかの部屋でDVDを観る時は自然とこの体勢になる。
ただくっついていたいからという理由だけで、観ている時もある。
「何かおかしいですか?」
問いかけながら、鳳は宍戸を抱き締める腕に少し力を込めた。
「サイズがやけに小さいだろ」
「ああ……高さに比べて寝台の大きさがってことですか?」
「お前が寝たら、絶対足がはみ出るだろ、あれじゃ。……西洋人だって身体デカイのに、何でベッドは小さいんだ」
「西洋では、昔の人は上半身を起こした体制で眠ってたらしいですよ。上半身も横たえて眠るのは死んだ時だけだって聞いた事あります」
上半身を起こしてといえば、まさに今、鳳や宍戸が座り込んでいるこの体勢で。
一瞬だけ、画面上の古い西洋のシーンとシンクロしたような気になる。
「……上半身起こしたままで眠る、ねえ。……そりゃ寝心地、」
わる、と言いかけて。
宍戸は口をつぐんだ。
「宍戸さん?」
「………ま、お前でもこうやって背中側にいりゃ良いけどよ」
「良いですか? 寝心地」
あんまりやわらかい感触じゃないですけど、と鳳は笑いながら宍戸に告げる。
「俺は固めが好きなんだよ」
そう言って宍戸が思い切り寄りかかってくるのを。
平然と受け止めて、鳳は一層両腕に力を込める。
華奢な宍戸の身体の感触は、鳳の手のひらに甘すぎる余韻を残す。
「………苦しくても?」
「アホ」
苦しかねえよ、と宍戸が言い捨てるのに甘えて、鳳は宍戸を強く抱き締め、ほっそりとした首筋と肩口とに顔を埋める。
「……観ねえのかよ」
苦笑いの気配がした。
でも離れろとは決して言わない宍戸を抱き締めたまま、鳳は目を閉じた。
「俺は最後まで観るからな」
「はい」
背後から宍戸を抱え込み、邪魔はしないけれど、放しもしないと、鳳は決める。
鳳の方から抱き締めるだけでなく。
宍戸の方からも寄りかかって近づいてきてくれるから。
こうして別々の事をしている時間も、彼らは結局ひとつだ。
「ああいうベッド、欲しくない?」
「いらねえ」
「どうして?」
「………んな仰々しいとこで寝れるかよ」
画面に映っているのは、天蓋つきの西洋式ベッドだ。
宍戸を背後から抱き込んで座っている鳳は、確かにうちのとは随分違いますよねと自分が寄りかかっている自室のベッドを流し見た。
そうしている間も、鳳の両腕は宍戸の薄い腹部にまわっている。
華奢な身体をしっかりと抱きこみ、互いの身体をぴったりと密着させている。
宍戸に欠片も嫌がられることなく、全てを許される、この距離の近さが鳳は好きで。
時々こうして二人でDVDを観る。
「なあ、長太郎」
「はい」
「あのベッド、なんかおかしくねえか?」
「何がですか?」
細い首筋にかかる襟足に目を眇め、鳳は宍戸の後ろ髪に唇を埋める。
最初にこの体勢でDVDを観た時。
宍戸は随分と落ち着き無かったものだが、今ではすっかりと鳳の好きなようにさせてくれている。
DVDが観たいだけじゃなくて。
くっつきたい。
宍戸さんと。
そう、鳳が、何の取り繕いもなく口にした言葉に、宍戸はあっさりこの慣習を受け入れた。
どちらかの部屋でDVDを観る時は自然とこの体勢になる。
ただくっついていたいからという理由だけで、観ている時もある。
「何かおかしいですか?」
問いかけながら、鳳は宍戸を抱き締める腕に少し力を込めた。
「サイズがやけに小さいだろ」
「ああ……高さに比べて寝台の大きさがってことですか?」
「お前が寝たら、絶対足がはみ出るだろ、あれじゃ。……西洋人だって身体デカイのに、何でベッドは小さいんだ」
「西洋では、昔の人は上半身を起こした体制で眠ってたらしいですよ。上半身も横たえて眠るのは死んだ時だけだって聞いた事あります」
上半身を起こしてといえば、まさに今、鳳や宍戸が座り込んでいるこの体勢で。
一瞬だけ、画面上の古い西洋のシーンとシンクロしたような気になる。
「……上半身起こしたままで眠る、ねえ。……そりゃ寝心地、」
わる、と言いかけて。
宍戸は口をつぐんだ。
「宍戸さん?」
「………ま、お前でもこうやって背中側にいりゃ良いけどよ」
「良いですか? 寝心地」
あんまりやわらかい感触じゃないですけど、と鳳は笑いながら宍戸に告げる。
「俺は固めが好きなんだよ」
そう言って宍戸が思い切り寄りかかってくるのを。
平然と受け止めて、鳳は一層両腕に力を込める。
華奢な宍戸の身体の感触は、鳳の手のひらに甘すぎる余韻を残す。
「………苦しくても?」
「アホ」
苦しかねえよ、と宍戸が言い捨てるのに甘えて、鳳は宍戸を強く抱き締め、ほっそりとした首筋と肩口とに顔を埋める。
「……観ねえのかよ」
苦笑いの気配がした。
でも離れろとは決して言わない宍戸を抱き締めたまま、鳳は目を閉じた。
「俺は最後まで観るからな」
「はい」
背後から宍戸を抱え込み、邪魔はしないけれど、放しもしないと、鳳は決める。
鳳の方から抱き締めるだけでなく。
宍戸の方からも寄りかかって近づいてきてくれるから。
こうして別々の事をしている時間も、彼らは結局ひとつだ。
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