How did you feel at your first kiss?
誰よりも先に、走って忍足の近くにやって来て。
忍足の顔を覗き込むようにして、向日は、笑った。
「侑士! 楽しかったか?」
「ああ。おもろかった」
「よかったな!」
そんな答えは最初から全部判っていたみたいに。
向日は満面の笑顔を見せる。
屈託のない明るい笑顔に、ふと、忍足は息がしやすくなったような気になった。
「……試合終わった後な、探したんや」
「え? 何を?」
言葉だけでなく、大きな目でも問いかけてくる。
忍足が、探したもの。
「岳人を」
「……侑士?」
「試合に勝った後に、おんなじコートに岳人がおらんと寂しぃな」
勝ったと理解する一瞬に、いつも必ず目に映っていたものを、探した。
いなかったことなんかなかったから。
微苦笑を浮かべた忍足を、真直ぐ見つめて、向日は両腕を伸ばしてきた。
「おめでと」
「……………」
耳元で言われた言葉は聞きなれないものだったけれど。
首に腕を巻きつけてきた細い身体を、背で抱き返すその感触は、忍足の手によく馴染んだものだった。
いつでも、どんな時も。
勝利の後に手にしてきた感触が。
やっと。
忍足の顔を覗き込むようにして、向日は、笑った。
「侑士! 楽しかったか?」
「ああ。おもろかった」
「よかったな!」
そんな答えは最初から全部判っていたみたいに。
向日は満面の笑顔を見せる。
屈託のない明るい笑顔に、ふと、忍足は息がしやすくなったような気になった。
「……試合終わった後な、探したんや」
「え? 何を?」
言葉だけでなく、大きな目でも問いかけてくる。
忍足が、探したもの。
「岳人を」
「……侑士?」
「試合に勝った後に、おんなじコートに岳人がおらんと寂しぃな」
勝ったと理解する一瞬に、いつも必ず目に映っていたものを、探した。
いなかったことなんかなかったから。
微苦笑を浮かべた忍足を、真直ぐ見つめて、向日は両腕を伸ばしてきた。
「おめでと」
「……………」
耳元で言われた言葉は聞きなれないものだったけれど。
首に腕を巻きつけてきた細い身体を、背で抱き返すその感触は、忍足の手によく馴染んだものだった。
いつでも、どんな時も。
勝利の後に手にしてきた感触が。
やっと。
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