How did you feel at your first kiss?
ベッドの上、枕を抱え込むようにしてうつ伏せになっている宍戸の横で、ベッドヘッドに寄りかかって上半身を起こしている鳳は宍戸の後ろ髪に長い指先を沈ませている。
飽きる様子もなく宍戸の髪をすいている。
頭を撫でる。
会話はない。
でも接触が優しく甘い分、沈黙は穏やかだった。
「……宍戸さん。喉は?」
「、ん」
それが最初の言葉。
鳳はひどく優しい声で宍戸にそう問いかけた。
まだだるい身体は確かに喉の渇きを訴えていて、宍戸が小さく応えると。
鳳は宍戸の後頭部を撫でながら更に耳元に囁いてきた。
「少し待ってて下さいね」
「……………」
飲み物なにか持って来ますからと鳳がベッドから床に足を下ろす。
そのまま屈んで、おそらく床に投げ置いたシャツを手に取っている鳳の背中に宍戸は目線をやって、そして呟いた。
「悪ぃ」
「……何がですか?」
「それ、俺だ」
背中、と言って。
宍戸は寝そべったままけだるく腕を伸ばした。
宍戸の手のひらが宛がわれた箇所を鳳が肩越しに見つめてくる。
「ああ……」
「……………」
強く重く速いサーブを繰り出す鳳の腕は鍛え上げられていて、腕の付け根から続く固い三角筋の上に宍戸の爪痕があった。
薄赤い痕を見据えながら、我ながら、と言って苦く笑う宍戸に、鳳が眼差しだけで先を促してくる。
我ながら何ですか?と訴えてくる。
そんな鳳の視線に宍戸は溜息交じりに応えて枕に片頬を埋めた。
「独占欲、誇示してんな…」
「そうですか?」
俺はもっと欲しい。
鳳は迷わず丁寧にそう囁いてきた。
「宍戸さんからの独占欲なら、もっともっと欲しいです」
「キャパ広いな…お前」
「すみません。貪欲で」
目を瞠った宍戸に対して穏やかに微笑む鳳の表情は最近ひどく大人びてきた。
人懐っこい印象をそのまま保っている事が不思議なくらい、鳳は確かに貪欲な目を宍戸にまっすぐに向けてくる事がある。
「お前の貪欲な所なら俺はもっと欲しい」
「……………」
「もっと…あるんなら、寄こせ」
全部。
「宍戸さん」
聞き分けの良い、優しい男だからこそ、めちゃくちゃに欲しがられたい。
他の誰にも向けない情熱で、他の誰にも望まない願望で。
もっと、とそれを強く望んでいるのは自分の方だと宍戸は判っている。
「……宍戸さんこそキャパ広すぎですよ」
鳳が身体を返してきた。
宍戸に覆い被さるようにして乗りあがってきて、口付けてくる。
「………、…ん」
渇いた宍戸の口腔に濡れた鳳の舌が忍んでくる。
もう水なんかいらないからと伝えるように、宍戸は自らも鳳の舌を口腔に含む。
濡れてしなやかな熱と弾力を持つ器官を宍戸が貪ると、鳳の両手が宍戸の首筋や頬や頭部を抱え込んで、鳳の方からも濃厚なやり方で与えられてきた。
「…っ…ん…、ぅ…っ…、ん」
「…………宍戸さん…」
「…、……っは……、ぁ…」
すきまなく塞がれた唇の端から伝い漏れていく唾液の感触に、どれだけのキスをされているのかと思う。
でももっとなんだと、宍戸は自分の舌で鳳の舌に絡みにいく。
挑んだ以上の激しさに巻き込まれて、痛いくらいに奪われて、荒いキスに安堵する。
「長…太郎………」
「……なんて声で呼ぶんですか……」
「……、長太郎…」
僅かに離れた唇と唇の隙間。
宍戸がちいさく舌をのぞかせて鳳の唇の表面をそっと舐めると、先程よりも更に激しいキスで唇を奪われた。
「ん……、…く………」
「……………」
「……ぅ……、…っ…」
粘膜を擦り合わせて、混ぜ合わせて、濡れて、沈んで、絡んで零れる。
「は、……キス…だけでいきそう……」
「……、ン…、…」
熱い息と共に洩らされた鳳の言葉に宍戸は小さく強く立て続けに震えて同じ事を思った。
「……宍戸さんも…?」
咄嗟にまた両手できつく、宍戸は鳳の肩や背中に取り縋る。
「ん、…っ……」
「宍戸さんも…一緒に…いく…?」
「……、……ぁ…」
優しい、いやらしい、どうしようもなく絶妙な案配で荒れる鳳の声に。
本当に、疲労困憊しきった身体がキスでまた絶頂していこうとするのを生々しく宍戸は感じ取っていた。
「宍戸さん……」
「………っふ…、ぁ……」
「………………」
「ぅ…、……ン…、っ」
唇と唇を擦り合わせるように角度が変えられる。
舌と舌が甘くもつれる。
自分の吐息が相手の口で溶け、相手の吐息が自分の口で溶けた。
口腔を舌で撫でられる。
濡れ出してきたものを嚥下する。
粘膜が痺れた。
唇が戦慄いた。
「長…、…太郎……」
「……そんなに可愛い声で呼ばないで…」
苦しがるような声すら注がれる甘さでしかなく、濡れそぼった唇で宍戸は解けているキスを再び結び直した。
「ん……っ……ン…、…ぅ…ん…」
「……、……ふ……」
くぐもった声が互いの口の中で一つになる。
舌の先を音をたてて吸われて、宍戸は鳳の背に指先を強く沈ませながら、数回身体を跳ね上げさせた。
鳳の唇は強く宍戸の唇を塞いだままで、そのキスの深さに鳳も宍戸と同じ感覚を味わっている事が知れた。
「…、…ぅ…、…ぁ…」
「……………」
きつく重なっていた唇が離れていく。
お互いの唇と唇とを濡れたものが繋いでいく。
濡れきった唇はそれこそお互い様だ。
荒い息が堰をきったようにもれてくる。
「宍戸さん…、……」
「…………、……ん…」
身体を繋げて、熱を、全部吐き出した後のように。
鳳が宍戸の肩口に顔を伏せてくる。
今度は宍戸の指が鳳の髪に埋められる。
「…長太郎…、…」
「………キスで…」
「……っ…、……」
キスだけで、いかせるんだから、と鳳は笑った。
でもそんな事は宍戸だってそうだ。
どこか甘く責める様に言われたところでどれこそ同じだ。
参った、そう思って。
二人で笑ってしまった。
とろけるように。
飽きる様子もなく宍戸の髪をすいている。
頭を撫でる。
会話はない。
でも接触が優しく甘い分、沈黙は穏やかだった。
「……宍戸さん。喉は?」
「、ん」
それが最初の言葉。
鳳はひどく優しい声で宍戸にそう問いかけた。
まだだるい身体は確かに喉の渇きを訴えていて、宍戸が小さく応えると。
鳳は宍戸の後頭部を撫でながら更に耳元に囁いてきた。
「少し待ってて下さいね」
「……………」
飲み物なにか持って来ますからと鳳がベッドから床に足を下ろす。
そのまま屈んで、おそらく床に投げ置いたシャツを手に取っている鳳の背中に宍戸は目線をやって、そして呟いた。
「悪ぃ」
「……何がですか?」
「それ、俺だ」
背中、と言って。
宍戸は寝そべったままけだるく腕を伸ばした。
宍戸の手のひらが宛がわれた箇所を鳳が肩越しに見つめてくる。
「ああ……」
「……………」
強く重く速いサーブを繰り出す鳳の腕は鍛え上げられていて、腕の付け根から続く固い三角筋の上に宍戸の爪痕があった。
薄赤い痕を見据えながら、我ながら、と言って苦く笑う宍戸に、鳳が眼差しだけで先を促してくる。
我ながら何ですか?と訴えてくる。
そんな鳳の視線に宍戸は溜息交じりに応えて枕に片頬を埋めた。
「独占欲、誇示してんな…」
「そうですか?」
俺はもっと欲しい。
鳳は迷わず丁寧にそう囁いてきた。
「宍戸さんからの独占欲なら、もっともっと欲しいです」
「キャパ広いな…お前」
「すみません。貪欲で」
目を瞠った宍戸に対して穏やかに微笑む鳳の表情は最近ひどく大人びてきた。
人懐っこい印象をそのまま保っている事が不思議なくらい、鳳は確かに貪欲な目を宍戸にまっすぐに向けてくる事がある。
「お前の貪欲な所なら俺はもっと欲しい」
「……………」
「もっと…あるんなら、寄こせ」
全部。
「宍戸さん」
聞き分けの良い、優しい男だからこそ、めちゃくちゃに欲しがられたい。
他の誰にも向けない情熱で、他の誰にも望まない願望で。
もっと、とそれを強く望んでいるのは自分の方だと宍戸は判っている。
「……宍戸さんこそキャパ広すぎですよ」
鳳が身体を返してきた。
宍戸に覆い被さるようにして乗りあがってきて、口付けてくる。
「………、…ん」
渇いた宍戸の口腔に濡れた鳳の舌が忍んでくる。
もう水なんかいらないからと伝えるように、宍戸は自らも鳳の舌を口腔に含む。
濡れてしなやかな熱と弾力を持つ器官を宍戸が貪ると、鳳の両手が宍戸の首筋や頬や頭部を抱え込んで、鳳の方からも濃厚なやり方で与えられてきた。
「…っ…ん…、ぅ…っ…、ん」
「…………宍戸さん…」
「…、……っは……、ぁ…」
すきまなく塞がれた唇の端から伝い漏れていく唾液の感触に、どれだけのキスをされているのかと思う。
でももっとなんだと、宍戸は自分の舌で鳳の舌に絡みにいく。
挑んだ以上の激しさに巻き込まれて、痛いくらいに奪われて、荒いキスに安堵する。
「長…太郎………」
「……なんて声で呼ぶんですか……」
「……、長太郎…」
僅かに離れた唇と唇の隙間。
宍戸がちいさく舌をのぞかせて鳳の唇の表面をそっと舐めると、先程よりも更に激しいキスで唇を奪われた。
「ん……、…く………」
「……………」
「……ぅ……、…っ…」
粘膜を擦り合わせて、混ぜ合わせて、濡れて、沈んで、絡んで零れる。
「は、……キス…だけでいきそう……」
「……、ン…、…」
熱い息と共に洩らされた鳳の言葉に宍戸は小さく強く立て続けに震えて同じ事を思った。
「……宍戸さんも…?」
咄嗟にまた両手できつく、宍戸は鳳の肩や背中に取り縋る。
「ん、…っ……」
「宍戸さんも…一緒に…いく…?」
「……、……ぁ…」
優しい、いやらしい、どうしようもなく絶妙な案配で荒れる鳳の声に。
本当に、疲労困憊しきった身体がキスでまた絶頂していこうとするのを生々しく宍戸は感じ取っていた。
「宍戸さん……」
「………っふ…、ぁ……」
「………………」
「ぅ…、……ン…、っ」
唇と唇を擦り合わせるように角度が変えられる。
舌と舌が甘くもつれる。
自分の吐息が相手の口で溶け、相手の吐息が自分の口で溶けた。
口腔を舌で撫でられる。
濡れ出してきたものを嚥下する。
粘膜が痺れた。
唇が戦慄いた。
「長…、…太郎……」
「……そんなに可愛い声で呼ばないで…」
苦しがるような声すら注がれる甘さでしかなく、濡れそぼった唇で宍戸は解けているキスを再び結び直した。
「ん……っ……ン…、…ぅ…ん…」
「……、……ふ……」
くぐもった声が互いの口の中で一つになる。
舌の先を音をたてて吸われて、宍戸は鳳の背に指先を強く沈ませながら、数回身体を跳ね上げさせた。
鳳の唇は強く宍戸の唇を塞いだままで、そのキスの深さに鳳も宍戸と同じ感覚を味わっている事が知れた。
「…、…ぅ…、…ぁ…」
「……………」
きつく重なっていた唇が離れていく。
お互いの唇と唇とを濡れたものが繋いでいく。
濡れきった唇はそれこそお互い様だ。
荒い息が堰をきったようにもれてくる。
「宍戸さん…、……」
「…………、……ん…」
身体を繋げて、熱を、全部吐き出した後のように。
鳳が宍戸の肩口に顔を伏せてくる。
今度は宍戸の指が鳳の髪に埋められる。
「…長太郎…、…」
「………キスで…」
「……っ…、……」
キスだけで、いかせるんだから、と鳳は笑った。
でもそんな事は宍戸だってそうだ。
どこか甘く責める様に言われたところでどれこそ同じだ。
参った、そう思って。
二人で笑ってしまった。
とろけるように。
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