How did you feel at your first kiss?
鳳長太郎には四つの顔がある。
一日四つの顔を使い分けている。
部活の最中の鳳は、部内の上級生達に、宍戸の奴に弱みでも握られてるのか?!と真面目に危惧されるほど宍戸に従順、絶対服従を貫いている。
宍戸はもう何度となく、鳳を苛めるなっ、この鬼っ、悪魔っと散々な事を部内で言われていた。
鳳という男は、上背があって性格もテニスの腕もよかった。
2年でレギュラーだが驕る事も威張ることもなく飄々として、誰からも妬まれたり悪く言われたりする事がなかった。
200名はいる氷帝のテニス部員の中で、どの学年からもうけのいい、人の良さが滲み出ているようなところがあって。
よって誰もが、樺地に荷物持ちをさせる跡部には言わない文句を、宍戸には集中砲火させた。
跡部部長はちょっといろいろ特殊な人なので比べる対象にはしにくいのだが、とにかく例えば荷物持ちという同じ行動を宍戸が鳳にさせようものなら、人間ここまで罵られなくてもという領域まで宍戸を罵倒する氷帝テニス部員達である。
跡部は命じてやらせているが、宍戸は何も言っていない。
それなのにだ。
鳳が勝手に、荷物持ちます、それも持ちます、あれもこれもといそいそとついてくるだけだというのに、鬼め悪魔めと宍戸は散々な言われようである。
必然的に宍戸は不機嫌になり、そんな彼を気遣ってか鳳はますます甲斐甲斐しくなった。
部活の間中こんな調子で、仮に宍戸が腹立ちにまかせて鳳を邪険にしたり、つれない態度をとれば。
そして鳳が、ちょっと寂しそうな素振りなんか見せ始めようものなら。
可哀想に可哀想に可哀想になっ、と宍戸は再び部員達からの集中攻撃を浴びる羽目になる。
そういうことになった日には、ほとほと呆れて、ともかく疲れて、宍戸は部活を終えて帰途につく。
家に帰るなり自主トレするなり遊びに出たりする。
その時に、鳳が一緒の確立は結構高い。
学校を離れても、何故か一つ年下の鳳といることが少なくなくて、そういう時に、鳳の二つ目の顔が現れる。
宍戸と二人きりになると、今度はもう。
どれだけ宍戸に嫌がろうが怒ろうが、鳳はべったりと甘えて甘えて甘え倒してくる。
コートでは大切な先輩、大切なダブルスのパートナー、という従順さを全開させる鳳は、一旦学校を離れると、宍戸への態度がいきなり大切な恋人仕様になるのだ。
実際そうなのだから仕方ないが、宍戸にしてみれば切り替えスイッチが入ったかのように変貌されるのに、なかなかついていけない。
年下のくせに甘ったるく優しくなって、何でも言うこと聞きますよと綺麗で甘い笑顔を見せる。
そこまでならばいいのだ。
微妙な気恥ずかしさはあるが、宍戸は跡部ほどではないけれど俺様気質なので、かしずかれるのははっきり言って気分がいい。
何をどう言っても、大概宍戸の言う事を聞く鳳の事は、元々気に入っているわけだし。
とにかくその後に、三人目の鳳さえ現れなければ。
あの鳳さえいなければ、と宍戸が何度歯噛みしたかしれない。
三人目の鳳は、キスでスイッチが入る。
宍戸にキスすると、言葉使いこそ丁寧なままだったが、欲情剥きだしで宍戸を抱き竦めてくるのである。
服を脱がせて、身体中まさぐって、宍戸が泣き出すまで容赦なくその身体を貪ってくる。
「…………て…め……っ…も、離……っ、…」
「宍戸さん…………」
うつぶせた宍戸の背後から、のしかかるように宍戸を抱きしめている鳳は震えている宍戸の腰を強く掴み締めながら、その中で。
「………ッ…ぅっ…ぅ……、く……、ぅ…っ……」
溜められていくものが頭の中まで濃密に埋めていくようで、食いしばった歯からも漏れる切羽詰った自分の声に宍戸はきつく目を閉じた。
「……宍戸さん…?」
「…………っ……る…せ」
「なんにも言ってないです」
かすかに笑いを含んだ吐息が耳に触れる。
熱くて。
自分一人ではないのだと安心するけれど。
「宍戸さん、時間がね……」
「……、……から…も……離……せ…、て……」
「……いえ……あのね、急げば二回出来るんですけど、時間かけてゆっくり一回で…… していいですか?」
「ふざけ……、……っ……ン、ッ」
顎を掴まれて首を捻られ、唇を塞がれた。
言葉の語尾は鳳の舌にとられてしまった。
「ん……っ…」
滑らかな指に喉を辿られながら口づけられて、宍戸は震えながら声をくぐもらせた。
鳳の家の者が夕刻過ぎまで全員出払っているというので連れて来られたのだが、鳳に抱きしめられ続けてどれくらい経ったのか、宍戸は朦朧とした頭での考え事が出来なくなっていた。
体内からまた圧迫されていくのが判って、細い喉声を迸らせる。
「…ひ………ぁ」
「………位置代えます」
「………ッン…」
鳳は動かないのに、宍戸だけぐるりと身体の向きを代えさせられて、折りたたむように曲げさせられた膝を、鳳の肢体を両足の間に挟み込んでから伸ばすことを許される。
「……く………ぅ…っ…ん…っ」
「宍戸さん」
体内をかきまわされて、どうしようもなくなってしまって。
身体を痙攣させながら零れてしまったものに鳳は指先を沈ませて、濡れた宍戸の腹部をゆっくりと撫でる。
「………っ……ゃ……」
「……泣かないで? 宍戸さん」
「ャ…………見……」
目元を覆う腕を鳳にとられそうになって宍戸は身体を捩って抗ったが、結局優しく強い力に引き剥がされてしまう。
腹立ちまぎれに宍戸が涙目で睨みつけた鳳は、嬉しくてと囁いて微笑んでいる。
「…………………」
好きだと繰り返し繰り返し告げてくる鳳は、それをなかなか口には出せない宍戸にとっては、羨ましいような悔しいような曖昧な感情を抱かせた。
「……長太郎…」
「はい」
丁寧に応えて、鳳は宍戸の唇に、更に丁寧にキスをした。
高い体温で温まった鳳の胸にかかるクロスが宍戸の鎖骨にもチェーンをやんわり弛ませて落ちてくる。
「………これ……今だけ外していいか…」
「……え…?…構いませんけど……」
チェーンを指先ですくって宍戸が嗄れた声で言うと、少しだけ不思議そうに鳳は首を傾けた。
「……あ、…痛くしちゃいましたか?」
擦ったりとかしたかと途端に口調を改めた鳳に、違うからと宍戸は首を振って。
外せ、と命じる。
すぐに首からそれを外した鳳は、ベッドヘッドにクロス置いた。
「…………宍戸さん?」
「………………」
宍戸は腕を伸ばした。
鳳の首に取りすがるようにしながら、上半身を起こす。
「……っ、」
「宍戸さん? なに? どうしたんですか?」
無理な体勢に眉根を寄せた宍戸に慌てて、鳳がそれでも、浮いた宍戸の背中に手のひらを当ててきた。
それだけで大分楽になって、宍戸は鳳が面食らっているうち、かなり強引に体勢を変えた。
鳳をベッドに押し倒して。
その上にのって。
「…………ッん…ぅ」
「………、……宍戸…さ……?」
納まりがよくなって、それはつまり宍戸が、鳳を含んだまま完全に彼の上に座り込んだ事になる。
下から膨張して圧迫される充足感に、宍戸は唇を噛んで喉を反らせた。
「ん…っ…ぅ……ん、っ……」
「え…?……ちょ……、…」
「…ぅ…ぁ、」
硬い腹部に手を当てて、身体を浮かせる。
意思を持って動かせるのは引き抜く時だけで、真上からはもう何一つ出来なくなって、宍戸はただ落ちた。
「ひ……っ…、…く……」
「……、……ッ…」
がくん、と身体がぶれて、宍戸の上体が倒れそうになる寸前、鳳の手が両方で宍戸の腰を掴んだ。
宍戸の上半身はしなって傾いだが、鳳の手に起点を定められて崩れることはなかった。
濡れそぼって熱い息を吐きながら、宍戸が潤んだ目で見下ろせば、鳳が余裕のない顔で宍戸を凝視していた。
「…………………」
その表情に満足して宍戸がうっすら笑うと、鳳は一層切羽詰ったような顔になる。
「俺ゆっくりって言いましたよね……」
「……お前はゆっくりしてりゃ…い……だろ…」
無茶かとも思ったが、今度は鳳の腹部に手をつかず、宍戸は膝で身体を支えてそれから遠ざかっていく。
「……ン……ん………ッ」
「…、……………」
骨盤が砕けそうな強さで鳳に鷲掴みにされた骨が軋むようだったが、だから余計に一度目以上に、宍戸は何を危惧することなく身体を落とした。
「……ッァ…あ…、…っ、…、ァ…」
身体中に突き刺さるように広がっていくものが、痛みなのか快楽なのか判断しかねる強烈さで。
眦から切れめなく流れ落ちていく涙は宍戸の喉を落ちて胸元まで伝っていく。
「………きつかったらもう動かないで……俺がやるから…」
「う…るせ……っ………いいならおとなしくしてろ……っ…」
そんな風に言われたら動けないじゃないですかと言った殊勝な言葉に満足して、宍戸は涙を落としながら笑った。
急いで二回でも、ゆっくり一回でも、ない。
「………なんか…も、…すごすぎ……」
「……………………」
急いで一回。
いきつかせて、いきついて。
鳳の身体の上で脱力した宍戸は、自分を抱きしめてくる鳳もまた、暴れるような鼓動を響かせているのに合わせて、そのまま目を閉じた。
10分程度のその時間。
宍戸が眠っていたのか気を失っていたのかは、宍戸本人にも鳳にも、判らなかった。
睡魔なり自失なりで意識を無くした宍戸が、目覚めてからはもう、ゴメンナサイゴメンナサイと頭を下げては宍戸の身の回りの世話をする、四人目の鳳がそこにいた。
一日四つの顔を使い分けている。
部活の最中の鳳は、部内の上級生達に、宍戸の奴に弱みでも握られてるのか?!と真面目に危惧されるほど宍戸に従順、絶対服従を貫いている。
宍戸はもう何度となく、鳳を苛めるなっ、この鬼っ、悪魔っと散々な事を部内で言われていた。
鳳という男は、上背があって性格もテニスの腕もよかった。
2年でレギュラーだが驕る事も威張ることもなく飄々として、誰からも妬まれたり悪く言われたりする事がなかった。
200名はいる氷帝のテニス部員の中で、どの学年からもうけのいい、人の良さが滲み出ているようなところがあって。
よって誰もが、樺地に荷物持ちをさせる跡部には言わない文句を、宍戸には集中砲火させた。
跡部部長はちょっといろいろ特殊な人なので比べる対象にはしにくいのだが、とにかく例えば荷物持ちという同じ行動を宍戸が鳳にさせようものなら、人間ここまで罵られなくてもという領域まで宍戸を罵倒する氷帝テニス部員達である。
跡部は命じてやらせているが、宍戸は何も言っていない。
それなのにだ。
鳳が勝手に、荷物持ちます、それも持ちます、あれもこれもといそいそとついてくるだけだというのに、鬼め悪魔めと宍戸は散々な言われようである。
必然的に宍戸は不機嫌になり、そんな彼を気遣ってか鳳はますます甲斐甲斐しくなった。
部活の間中こんな調子で、仮に宍戸が腹立ちにまかせて鳳を邪険にしたり、つれない態度をとれば。
そして鳳が、ちょっと寂しそうな素振りなんか見せ始めようものなら。
可哀想に可哀想に可哀想になっ、と宍戸は再び部員達からの集中攻撃を浴びる羽目になる。
そういうことになった日には、ほとほと呆れて、ともかく疲れて、宍戸は部活を終えて帰途につく。
家に帰るなり自主トレするなり遊びに出たりする。
その時に、鳳が一緒の確立は結構高い。
学校を離れても、何故か一つ年下の鳳といることが少なくなくて、そういう時に、鳳の二つ目の顔が現れる。
宍戸と二人きりになると、今度はもう。
どれだけ宍戸に嫌がろうが怒ろうが、鳳はべったりと甘えて甘えて甘え倒してくる。
コートでは大切な先輩、大切なダブルスのパートナー、という従順さを全開させる鳳は、一旦学校を離れると、宍戸への態度がいきなり大切な恋人仕様になるのだ。
実際そうなのだから仕方ないが、宍戸にしてみれば切り替えスイッチが入ったかのように変貌されるのに、なかなかついていけない。
年下のくせに甘ったるく優しくなって、何でも言うこと聞きますよと綺麗で甘い笑顔を見せる。
そこまでならばいいのだ。
微妙な気恥ずかしさはあるが、宍戸は跡部ほどではないけれど俺様気質なので、かしずかれるのははっきり言って気分がいい。
何をどう言っても、大概宍戸の言う事を聞く鳳の事は、元々気に入っているわけだし。
とにかくその後に、三人目の鳳さえ現れなければ。
あの鳳さえいなければ、と宍戸が何度歯噛みしたかしれない。
三人目の鳳は、キスでスイッチが入る。
宍戸にキスすると、言葉使いこそ丁寧なままだったが、欲情剥きだしで宍戸を抱き竦めてくるのである。
服を脱がせて、身体中まさぐって、宍戸が泣き出すまで容赦なくその身体を貪ってくる。
「…………て…め……っ…も、離……っ、…」
「宍戸さん…………」
うつぶせた宍戸の背後から、のしかかるように宍戸を抱きしめている鳳は震えている宍戸の腰を強く掴み締めながら、その中で。
「………ッ…ぅっ…ぅ……、く……、ぅ…っ……」
溜められていくものが頭の中まで濃密に埋めていくようで、食いしばった歯からも漏れる切羽詰った自分の声に宍戸はきつく目を閉じた。
「……宍戸さん…?」
「…………っ……る…せ」
「なんにも言ってないです」
かすかに笑いを含んだ吐息が耳に触れる。
熱くて。
自分一人ではないのだと安心するけれど。
「宍戸さん、時間がね……」
「……、……から…も……離……せ…、て……」
「……いえ……あのね、急げば二回出来るんですけど、時間かけてゆっくり一回で…… していいですか?」
「ふざけ……、……っ……ン、ッ」
顎を掴まれて首を捻られ、唇を塞がれた。
言葉の語尾は鳳の舌にとられてしまった。
「ん……っ…」
滑らかな指に喉を辿られながら口づけられて、宍戸は震えながら声をくぐもらせた。
鳳の家の者が夕刻過ぎまで全員出払っているというので連れて来られたのだが、鳳に抱きしめられ続けてどれくらい経ったのか、宍戸は朦朧とした頭での考え事が出来なくなっていた。
体内からまた圧迫されていくのが判って、細い喉声を迸らせる。
「…ひ………ぁ」
「………位置代えます」
「………ッン…」
鳳は動かないのに、宍戸だけぐるりと身体の向きを代えさせられて、折りたたむように曲げさせられた膝を、鳳の肢体を両足の間に挟み込んでから伸ばすことを許される。
「……く………ぅ…っ…ん…っ」
「宍戸さん」
体内をかきまわされて、どうしようもなくなってしまって。
身体を痙攣させながら零れてしまったものに鳳は指先を沈ませて、濡れた宍戸の腹部をゆっくりと撫でる。
「………っ……ゃ……」
「……泣かないで? 宍戸さん」
「ャ…………見……」
目元を覆う腕を鳳にとられそうになって宍戸は身体を捩って抗ったが、結局優しく強い力に引き剥がされてしまう。
腹立ちまぎれに宍戸が涙目で睨みつけた鳳は、嬉しくてと囁いて微笑んでいる。
「…………………」
好きだと繰り返し繰り返し告げてくる鳳は、それをなかなか口には出せない宍戸にとっては、羨ましいような悔しいような曖昧な感情を抱かせた。
「……長太郎…」
「はい」
丁寧に応えて、鳳は宍戸の唇に、更に丁寧にキスをした。
高い体温で温まった鳳の胸にかかるクロスが宍戸の鎖骨にもチェーンをやんわり弛ませて落ちてくる。
「………これ……今だけ外していいか…」
「……え…?…構いませんけど……」
チェーンを指先ですくって宍戸が嗄れた声で言うと、少しだけ不思議そうに鳳は首を傾けた。
「……あ、…痛くしちゃいましたか?」
擦ったりとかしたかと途端に口調を改めた鳳に、違うからと宍戸は首を振って。
外せ、と命じる。
すぐに首からそれを外した鳳は、ベッドヘッドにクロス置いた。
「…………宍戸さん?」
「………………」
宍戸は腕を伸ばした。
鳳の首に取りすがるようにしながら、上半身を起こす。
「……っ、」
「宍戸さん? なに? どうしたんですか?」
無理な体勢に眉根を寄せた宍戸に慌てて、鳳がそれでも、浮いた宍戸の背中に手のひらを当ててきた。
それだけで大分楽になって、宍戸は鳳が面食らっているうち、かなり強引に体勢を変えた。
鳳をベッドに押し倒して。
その上にのって。
「…………ッん…ぅ」
「………、……宍戸…さ……?」
納まりがよくなって、それはつまり宍戸が、鳳を含んだまま完全に彼の上に座り込んだ事になる。
下から膨張して圧迫される充足感に、宍戸は唇を噛んで喉を反らせた。
「ん…っ…ぅ……ん、っ……」
「え…?……ちょ……、…」
「…ぅ…ぁ、」
硬い腹部に手を当てて、身体を浮かせる。
意思を持って動かせるのは引き抜く時だけで、真上からはもう何一つ出来なくなって、宍戸はただ落ちた。
「ひ……っ…、…く……」
「……、……ッ…」
がくん、と身体がぶれて、宍戸の上体が倒れそうになる寸前、鳳の手が両方で宍戸の腰を掴んだ。
宍戸の上半身はしなって傾いだが、鳳の手に起点を定められて崩れることはなかった。
濡れそぼって熱い息を吐きながら、宍戸が潤んだ目で見下ろせば、鳳が余裕のない顔で宍戸を凝視していた。
「…………………」
その表情に満足して宍戸がうっすら笑うと、鳳は一層切羽詰ったような顔になる。
「俺ゆっくりって言いましたよね……」
「……お前はゆっくりしてりゃ…い……だろ…」
無茶かとも思ったが、今度は鳳の腹部に手をつかず、宍戸は膝で身体を支えてそれから遠ざかっていく。
「……ン……ん………ッ」
「…、……………」
骨盤が砕けそうな強さで鳳に鷲掴みにされた骨が軋むようだったが、だから余計に一度目以上に、宍戸は何を危惧することなく身体を落とした。
「……ッァ…あ…、…っ、…、ァ…」
身体中に突き刺さるように広がっていくものが、痛みなのか快楽なのか判断しかねる強烈さで。
眦から切れめなく流れ落ちていく涙は宍戸の喉を落ちて胸元まで伝っていく。
「………きつかったらもう動かないで……俺がやるから…」
「う…るせ……っ………いいならおとなしくしてろ……っ…」
そんな風に言われたら動けないじゃないですかと言った殊勝な言葉に満足して、宍戸は涙を落としながら笑った。
急いで二回でも、ゆっくり一回でも、ない。
「………なんか…も、…すごすぎ……」
「……………………」
急いで一回。
いきつかせて、いきついて。
鳳の身体の上で脱力した宍戸は、自分を抱きしめてくる鳳もまた、暴れるような鼓動を響かせているのに合わせて、そのまま目を閉じた。
10分程度のその時間。
宍戸が眠っていたのか気を失っていたのかは、宍戸本人にも鳳にも、判らなかった。
睡魔なり自失なりで意識を無くした宍戸が、目覚めてからはもう、ゴメンナサイゴメンナサイと頭を下げては宍戸の身の回りの世話をする、四人目の鳳がそこにいた。
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