How did you feel at your first kiss?
乾の機嫌があまりよくないようだと、口付けられながら海堂は思った。
舌が貪られる。
深く、というより。
強く。
「…っ……、…」
海堂はうっすらと目を開ける。
乾の表情は近すぎて見えない。
普段ならあやすように呼吸の時間をくれる乾が、舌を絡めとったままキスを解かない。
「ン……ッ…」
「………………」
「……ぅ……」
乾の硬い指が、ひっきりなしに海堂の胸元をさまよっている。
時折痛みを覚える箇所があって、海堂は乾に絡めとられたままの舌を震わせる。
たいした事のない筈の打撲は。
乾の唇と指とでここまで追い詰められ、胸の内でがなるような鼓動を繰り返していた。
「………海堂」
「…、……っ……」
どれくらいぶりにか唇が離れ、海堂は肩で息をした。
頭がふらつく。
仰向けに寝ているのに眩暈がした。
試合の後だってこんな風にはならない。
唇がひりついて、口腔はひどく熱いのに、乾に奪われ続けた舌は痺れるようになって感覚が危うかった。
「………ツ…、…っ……」
乾の大きな手のひらで胸元を押さえ込まれ、海堂ははっきりと呻いた。
二日前の些細なトラブルで打撲した胸は、ここまで痛んではいなかった筈なのに。
乾に触れられて、思い出したかのように疼き出す。
「お前に、こんなものを残した相手は?」
「…………………」
「海堂」
抑揚のない乾の声が聞き取り辛く、海堂は空ろな目を向けただけだった。
正直、海堂の打撲の跡を見て、乾がこんな風になるとは思っていなかったのだ。
驚くかもしれない。
少しは怒るかもしれない。
海堂の認識はその程度だった。
まさか乾がこんなに静かに怒って、手加減のない不機嫌をありのままぶつけてくるとは考えていなかった。
「……………」
何なんだこれ、と。
また胸の上で。
乾の手のひらに押し込まれて自覚する痛み。
その聞き慣れないきつい問いかけにも雁字搦めにされて、海堂は眉を寄せたまま首を左右に振った。
うまく言えそうになかった。
「……………」
「海堂。俺にも、我慢出来る事と出来ない事があるんだよ」
「………………」
「お前を……こう、した相手」
眼鏡のない乾からの視線に撫でられた胸元が熱くなる。
海堂は息を飲んで。
「…………、…先…輩、」
「庇っても結果は同じだ」
「……庇ってなんか…ね…よ」
「同じだよ。海堂」
冷たいくらいに激怒している乾が、怖い訳ではない。
でも。
「………………」
海堂は震えるように手を伸ばした。
乾の首に両腕を絡めるようにしがみつく。
「……いやでも全国大会行けばいる……」
「どこの中学だ」
「………六里ヶ丘とか…」
「ああ。取材班のいる中学だ」
尚更都合が良いと乾は低く言い、海堂の唇に噛み付くような荒いキスをした。
「お前に怖がられても」
「……誰が怖がるんですか」
海堂は気配の鋭くなっている乾の髪に指先を沈ませた。
乾からの、きつい口づけを受けながら、舌をあけ渡す。
痛いくらいに奪われる舌。
「………………」
海堂は全身から力を抜いた。
滅多にない乾の不機嫌の取り込み方を覚えたい。
それすらも、欲しい。
舌が貪られる。
深く、というより。
強く。
「…っ……、…」
海堂はうっすらと目を開ける。
乾の表情は近すぎて見えない。
普段ならあやすように呼吸の時間をくれる乾が、舌を絡めとったままキスを解かない。
「ン……ッ…」
「………………」
「……ぅ……」
乾の硬い指が、ひっきりなしに海堂の胸元をさまよっている。
時折痛みを覚える箇所があって、海堂は乾に絡めとられたままの舌を震わせる。
たいした事のない筈の打撲は。
乾の唇と指とでここまで追い詰められ、胸の内でがなるような鼓動を繰り返していた。
「………海堂」
「…、……っ……」
どれくらいぶりにか唇が離れ、海堂は肩で息をした。
頭がふらつく。
仰向けに寝ているのに眩暈がした。
試合の後だってこんな風にはならない。
唇がひりついて、口腔はひどく熱いのに、乾に奪われ続けた舌は痺れるようになって感覚が危うかった。
「………ツ…、…っ……」
乾の大きな手のひらで胸元を押さえ込まれ、海堂ははっきりと呻いた。
二日前の些細なトラブルで打撲した胸は、ここまで痛んではいなかった筈なのに。
乾に触れられて、思い出したかのように疼き出す。
「お前に、こんなものを残した相手は?」
「…………………」
「海堂」
抑揚のない乾の声が聞き取り辛く、海堂は空ろな目を向けただけだった。
正直、海堂の打撲の跡を見て、乾がこんな風になるとは思っていなかったのだ。
驚くかもしれない。
少しは怒るかもしれない。
海堂の認識はその程度だった。
まさか乾がこんなに静かに怒って、手加減のない不機嫌をありのままぶつけてくるとは考えていなかった。
「……………」
何なんだこれ、と。
また胸の上で。
乾の手のひらに押し込まれて自覚する痛み。
その聞き慣れないきつい問いかけにも雁字搦めにされて、海堂は眉を寄せたまま首を左右に振った。
うまく言えそうになかった。
「……………」
「海堂。俺にも、我慢出来る事と出来ない事があるんだよ」
「………………」
「お前を……こう、した相手」
眼鏡のない乾からの視線に撫でられた胸元が熱くなる。
海堂は息を飲んで。
「…………、…先…輩、」
「庇っても結果は同じだ」
「……庇ってなんか…ね…よ」
「同じだよ。海堂」
冷たいくらいに激怒している乾が、怖い訳ではない。
でも。
「………………」
海堂は震えるように手を伸ばした。
乾の首に両腕を絡めるようにしがみつく。
「……いやでも全国大会行けばいる……」
「どこの中学だ」
「………六里ヶ丘とか…」
「ああ。取材班のいる中学だ」
尚更都合が良いと乾は低く言い、海堂の唇に噛み付くような荒いキスをした。
「お前に怖がられても」
「……誰が怖がるんですか」
海堂は気配の鋭くなっている乾の髪に指先を沈ませた。
乾からの、きつい口づけを受けながら、舌をあけ渡す。
痛いくらいに奪われる舌。
「………………」
海堂は全身から力を抜いた。
滅多にない乾の不機嫌の取り込み方を覚えたい。
それすらも、欲しい。
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