How did you feel at your first kiss?
またたく間に世界が変わる。
目が覚めてそこに跡部がいると未だにぎょっとする。
今なんかもそうだ。
「………………」
あったかくて気持ち良い温みの中で、まだ外暗いなあとぼんやり思いながら神尾が目を開けると。
いきなり跡部の顔が間近にあった。
その上いつからそうしているのか神尾には全く見当がつかないが、跡部の手に頬の辺りを撫でられていたりしたから神尾は本当にびっくりした。
寝そべったまま自分を見据える跡部の顔が、凄まじく格好良くて凄まじくおっかないから、もう尚更だ。
寝起きの跡部は顔はとびきり不機嫌だけれど、仕草はとびきり優しい。
今だって神尾を睨むような顔をしているが、飽きる事無く頬や髪を撫でつけられている手は甘い。
顔とやってる事とが物凄いギャップなので、結局神尾は心臓だけを大きく響かせ、硬直して、されるがままでいるしかない。
「おい」
「……なに…」
薄暗がりの中、じっと互いを見つめて交わす今日最初の言葉。
ひとしきり神尾の頬や髪をいじりたおしてから、跡部は一層きつく神尾を睨むみたいに目を細めた。
「お前ウインクできねえだろ」
「……は?」
「両目瞑っちまうタイプだ。典型的不器用」
「………んなこと何で判んだよ」
「見りゃ判る。触ってても判った」
「何でそんなんで判んだよ」
「判るから判るんだよ」
いいからやってみせなと跡部が不遜に言い放つ。
頭から決めてかかられると思い切り反発したくなる。
神尾はムッとなって跡部を睨みつける。
まだ大分眠くて、多分たいした迫力にもなっていないと自分で判る。
「やってみろって」
完全にからかっている意地の悪い声だ。
笑い方もえらそうで。
それなのに神尾の前髪を払って両目を露にさせた跡部の指先だけはいやになるくらい優しかった。
「………………」
やりゃーいいんだろうとやけっぱちで。
神尾は片目を瞑る。
片目のつもりで瞑ったが、結局いつものように両目が閉じてしまって視界は闇になる。
「………………」
闇の中で唇に。
ふわりとかぶさるものがある。
あさく触れて。
あまく痺れて。
それが離れてから、震えるように神尾が目を開けたら。
少し上体を起こすようにしていた跡部が、神尾へとまた屈んでくる所だった。
「……もう一回してみな」
「………ん」
「お前、一生ウインク出来なくていいぜ」
「………………」
練習するならいくらでもつきあってやるがと跡部が唇の合間で言った。
神尾はウインクのつもりで、でも出来てしまう暗闇の中。
重なるさらさらとした唇の優しい感触に思わず手を伸ばす。
神尾の手に触れたのは跡部の髪で。
それをゆるく握りこみながら、神尾は忍んできた跡部の舌をゆっくりのんだ。
目が覚めてそこに跡部がいると未だにぎょっとする。
今なんかもそうだ。
「………………」
あったかくて気持ち良い温みの中で、まだ外暗いなあとぼんやり思いながら神尾が目を開けると。
いきなり跡部の顔が間近にあった。
その上いつからそうしているのか神尾には全く見当がつかないが、跡部の手に頬の辺りを撫でられていたりしたから神尾は本当にびっくりした。
寝そべったまま自分を見据える跡部の顔が、凄まじく格好良くて凄まじくおっかないから、もう尚更だ。
寝起きの跡部は顔はとびきり不機嫌だけれど、仕草はとびきり優しい。
今だって神尾を睨むような顔をしているが、飽きる事無く頬や髪を撫でつけられている手は甘い。
顔とやってる事とが物凄いギャップなので、結局神尾は心臓だけを大きく響かせ、硬直して、されるがままでいるしかない。
「おい」
「……なに…」
薄暗がりの中、じっと互いを見つめて交わす今日最初の言葉。
ひとしきり神尾の頬や髪をいじりたおしてから、跡部は一層きつく神尾を睨むみたいに目を細めた。
「お前ウインクできねえだろ」
「……は?」
「両目瞑っちまうタイプだ。典型的不器用」
「………んなこと何で判んだよ」
「見りゃ判る。触ってても判った」
「何でそんなんで判んだよ」
「判るから判るんだよ」
いいからやってみせなと跡部が不遜に言い放つ。
頭から決めてかかられると思い切り反発したくなる。
神尾はムッとなって跡部を睨みつける。
まだ大分眠くて、多分たいした迫力にもなっていないと自分で判る。
「やってみろって」
完全にからかっている意地の悪い声だ。
笑い方もえらそうで。
それなのに神尾の前髪を払って両目を露にさせた跡部の指先だけはいやになるくらい優しかった。
「………………」
やりゃーいいんだろうとやけっぱちで。
神尾は片目を瞑る。
片目のつもりで瞑ったが、結局いつものように両目が閉じてしまって視界は闇になる。
「………………」
闇の中で唇に。
ふわりとかぶさるものがある。
あさく触れて。
あまく痺れて。
それが離れてから、震えるように神尾が目を開けたら。
少し上体を起こすようにしていた跡部が、神尾へとまた屈んでくる所だった。
「……もう一回してみな」
「………ん」
「お前、一生ウインク出来なくていいぜ」
「………………」
練習するならいくらでもつきあってやるがと跡部が唇の合間で言った。
神尾はウインクのつもりで、でも出来てしまう暗闇の中。
重なるさらさらとした唇の優しい感触に思わず手を伸ばす。
神尾の手に触れたのは跡部の髪で。
それをゆるく握りこみながら、神尾は忍んできた跡部の舌をゆっくりのんだ。
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