How did you feel at your first kiss?
気づかれないように息を詰めたのに。
気づかわしいように頬を撫でられた。
海堂は掠れた声で乾に告げる。
「初めてじゃねえっすよ……」
「……うん。でもね」
乾のそれは、はっきりと欲情している声なのに。
寸でで踏みとどまれて、海堂は乾を睨み上げる。
多分、さほどきつい目にはなっていないのだろうと、海堂自身判っていた。
折り重なって、擦れあって、触れ合っている身体は放熱するように熱い。
お互いに。
「無理させてるって自覚はあるんだ」
「………何が無理だよ」
「そこのところ言葉にしたら怒るだろ。海堂」
乾がちょっと笑った。
汗に濡れた彼のこめかみを、涙に濡れた目で見上げて。
滲むような熱が一層酷くなる。
欲しくて堪らないのはお互い様で、交わす言葉は双方とも熱を含み、それなのにこんなところで敢えて耐え忍んでいるような真似をするのも大概おかしな話だと思う。
普段から至極淡々としている乾が欲を剥き出しにしてみせる稀有なこの瞬間を、時折焦がれるような思いで海堂は欲している。
気遣わなくていいから。
もう幾度も幾度も繰り返している事なのだから、したいようにすればいいと思う。
喉が痛むような熱気をはらんだ息を唇からぎこちなく逃がしながら、海堂は乾の頬に手を差し伸べ返した。
「無理なことなんて何もしてねえよ」
「……海堂?」
「あんたにされて嫌なことなんて何もない」
欲しがる気持ちを伝えきれているか、そればかりを懸念して、海堂は乾を見つめた。
応えはすぐに与えられる。
「海堂、俺が最初にお前を抱き締める時、お前は必ず震えるってこと、判ってるか」
優しいけれどきつくもある目で乾からも見据えられ、囁かれた言葉に海堂は瞬いて目を伏せる。
羞恥は一瞬で。
「…………………」
すぐに顔を上げ、海堂は乾の頬に触れ合わせた指先をそっと滑らせていく。
「あんたの手…冷たいくせに、」
「…………………」
「触れられるとそこがなんだか熱いんだよ…」
「……海堂」
「………嫌がってるわけでも…怖がってるわけでもない」
だから、と。
海堂は自分から乾の首に両手を絡める。
「先輩に触れてる間は、年の差とか、男同士だとか、忘れられる…」
呟くだけの声。
それを乾は流さなかった。
「忘れなくていいよ」
「…………………」
熱っぽい囁きと一緒にすくい上げるように背筋を抱かれる。
痛いくらいに抱き締められて、引き合うように噛み合わせたキスへ、のめり込む。
「知ってていい。全部。だから俺は海堂を好きなんだから」
「…………………」
何の迷いもなく乾はそう言った。
何の問題もない事のように。
「先輩」
「うん」
乾の手に髪を撫でつけるように頭を数回撫でられながら、間近から目を覗きこまれる。
そういう一連の仕草は、甘やかされているものだと判っていながら、逆らうのはひどく難しかった。
じっと見返す先、乾の表情が変化していくのも。
海堂を急激に、深い処まで、追い詰めていく。
「海堂」
手繰り込むようにお互いの指を絡める。
海堂は、何を気づかれてもいいと思って身体をひらき、乾は、気づかわしさをかなぐり捨てて身体を押し進める。
つなげられるところは全てつないで、こんなに近くにいる相手が見えなくなるくらい。
見失いそうになるくらい。
激しさにまかれても、怖くはない。
知ってていい。
判ってていい。
だから好きなのだと乾が言ってくれるなら。
海堂に怖い事は何もない。
気づかわしいように頬を撫でられた。
海堂は掠れた声で乾に告げる。
「初めてじゃねえっすよ……」
「……うん。でもね」
乾のそれは、はっきりと欲情している声なのに。
寸でで踏みとどまれて、海堂は乾を睨み上げる。
多分、さほどきつい目にはなっていないのだろうと、海堂自身判っていた。
折り重なって、擦れあって、触れ合っている身体は放熱するように熱い。
お互いに。
「無理させてるって自覚はあるんだ」
「………何が無理だよ」
「そこのところ言葉にしたら怒るだろ。海堂」
乾がちょっと笑った。
汗に濡れた彼のこめかみを、涙に濡れた目で見上げて。
滲むような熱が一層酷くなる。
欲しくて堪らないのはお互い様で、交わす言葉は双方とも熱を含み、それなのにこんなところで敢えて耐え忍んでいるような真似をするのも大概おかしな話だと思う。
普段から至極淡々としている乾が欲を剥き出しにしてみせる稀有なこの瞬間を、時折焦がれるような思いで海堂は欲している。
気遣わなくていいから。
もう幾度も幾度も繰り返している事なのだから、したいようにすればいいと思う。
喉が痛むような熱気をはらんだ息を唇からぎこちなく逃がしながら、海堂は乾の頬に手を差し伸べ返した。
「無理なことなんて何もしてねえよ」
「……海堂?」
「あんたにされて嫌なことなんて何もない」
欲しがる気持ちを伝えきれているか、そればかりを懸念して、海堂は乾を見つめた。
応えはすぐに与えられる。
「海堂、俺が最初にお前を抱き締める時、お前は必ず震えるってこと、判ってるか」
優しいけれどきつくもある目で乾からも見据えられ、囁かれた言葉に海堂は瞬いて目を伏せる。
羞恥は一瞬で。
「…………………」
すぐに顔を上げ、海堂は乾の頬に触れ合わせた指先をそっと滑らせていく。
「あんたの手…冷たいくせに、」
「…………………」
「触れられるとそこがなんだか熱いんだよ…」
「……海堂」
「………嫌がってるわけでも…怖がってるわけでもない」
だから、と。
海堂は自分から乾の首に両手を絡める。
「先輩に触れてる間は、年の差とか、男同士だとか、忘れられる…」
呟くだけの声。
それを乾は流さなかった。
「忘れなくていいよ」
「…………………」
熱っぽい囁きと一緒にすくい上げるように背筋を抱かれる。
痛いくらいに抱き締められて、引き合うように噛み合わせたキスへ、のめり込む。
「知ってていい。全部。だから俺は海堂を好きなんだから」
「…………………」
何の迷いもなく乾はそう言った。
何の問題もない事のように。
「先輩」
「うん」
乾の手に髪を撫でつけるように頭を数回撫でられながら、間近から目を覗きこまれる。
そういう一連の仕草は、甘やかされているものだと判っていながら、逆らうのはひどく難しかった。
じっと見返す先、乾の表情が変化していくのも。
海堂を急激に、深い処まで、追い詰めていく。
「海堂」
手繰り込むようにお互いの指を絡める。
海堂は、何を気づかれてもいいと思って身体をひらき、乾は、気づかわしさをかなぐり捨てて身体を押し進める。
つなげられるところは全てつないで、こんなに近くにいる相手が見えなくなるくらい。
見失いそうになるくらい。
激しさにまかれても、怖くはない。
知ってていい。
判ってていい。
だから好きなのだと乾が言ってくれるなら。
海堂に怖い事は何もない。
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