How did you feel at your first kiss?
あまり繰り返してばかりいるのも信用性に欠けるだろうかと、乾も一時、迷いはしたけれど。
「海堂」
己の腕に抱き締めて、その名を呼べる悦楽に、抗えない。
「好きだ」
そう口にする時の高揚感、その都度見たことのない表情を晒す海堂を、望む欲求は凌げない。
浴びせかけるように囁き続け、抱き締め続け、逃げようとする海堂を決して離さず繰り返していると、時期に海堂は、乾の腕の中で大人しくなる。
こうなるまでには、ある程度の時間が必要だけれど。
その時間は乾にとって決して苦痛ではなかった。
寧ろ欣喜だ。
「……海堂」
「………………」
腕の中におさまる海堂をそっと見下ろして囁きかける乾の視界で、海堂は少し赤い目元に震える睫毛の影を落とす。
「好きだ……」
「…………わ……かったから…」
戸惑って、力の無くなる声。
「…好きだよ」
「……っ…、……!」
怒って荒くなる気配。
それらが全て、乾にはとろりと甘く感じられる。
乾が笑みを深めるのを、何だか悔しそうに海堂は睨みつけてくる。
何が悔しいの?と寧ろ相手に対しての敗北感なら余程強い乾が、腕の中の海堂を軽く揺らす。
顔を近づけて。
海堂?と囁けば。
「……わかったって、言ってんだろ……っ…」
好きだと乾が繰り返し口にするのが、いったいどれほど海堂の心中を乱すのか。
震え出しそうに混乱している海堂の困惑が愛しいと思う。
知らない表情ばかりを次々見せられ、乾は海堂の頬に指先を這わせ、その表情に更に近づいた。
「口説くのはお一人様一回限りなんて…誰が決めたんだ?」
「………、……」
「言いたいんだ何度でも」
極軽く唇を重ねてから両腕できつく海堂を抱き締める。
繰り返し、繰り返し、その体勢で乾が囁けば。
海堂の手が乾の背のシャツを、きゅっと握り込んだのが気配で判る。
「……海堂?」
「俺は……」
「………ん…?」
少しだけ身体を離して乾が見下ろす先で、海堂は小さく息をつき、そして顔を上向けてくる。
「……………」
躊躇っても、まっすぐに。
見つめてくる目が自分を見ているということに、乾は体験したことのない深い充足感で満たされる。
きつい、眼差しは。
真摯だ。
「俺と一緒にいること、後悔させない」
「……海堂」
「そういう風に、思ってる」
「ありがとう」
「…………………」
礼なら俺が言いたいと、至極真面目な小さな声で海堂は言った。
「…………………」
心からの感謝を、焦がれるようにしたくなる程の存在は、乾の腕にあつらえられたもののように収まっている。
「好きだ……」
耐えかねたような。
呻く声音でまた繰り返し囁く乾の背を、海堂の両腕が、しっかりと抱き締め返してくる。
「俺なんかに惚れて…馬鹿だアンタ」
ぶっきらぼうな声の中に、一滴ぽつんと落とされた海堂の感情は。
一瞬で波紋を描いて水面を染めた、見目鮮やかな色インクのように乾へと伝わってくる。
甘く苦しむ海堂の含羞みの色は。
声だけでなく。
襟足の髪が零れて露になった海堂の項をも、ほんのりと甘い色に染め上げていた。
「海堂」
己の腕に抱き締めて、その名を呼べる悦楽に、抗えない。
「好きだ」
そう口にする時の高揚感、その都度見たことのない表情を晒す海堂を、望む欲求は凌げない。
浴びせかけるように囁き続け、抱き締め続け、逃げようとする海堂を決して離さず繰り返していると、時期に海堂は、乾の腕の中で大人しくなる。
こうなるまでには、ある程度の時間が必要だけれど。
その時間は乾にとって決して苦痛ではなかった。
寧ろ欣喜だ。
「……海堂」
「………………」
腕の中におさまる海堂をそっと見下ろして囁きかける乾の視界で、海堂は少し赤い目元に震える睫毛の影を落とす。
「好きだ……」
「…………わ……かったから…」
戸惑って、力の無くなる声。
「…好きだよ」
「……っ…、……!」
怒って荒くなる気配。
それらが全て、乾にはとろりと甘く感じられる。
乾が笑みを深めるのを、何だか悔しそうに海堂は睨みつけてくる。
何が悔しいの?と寧ろ相手に対しての敗北感なら余程強い乾が、腕の中の海堂を軽く揺らす。
顔を近づけて。
海堂?と囁けば。
「……わかったって、言ってんだろ……っ…」
好きだと乾が繰り返し口にするのが、いったいどれほど海堂の心中を乱すのか。
震え出しそうに混乱している海堂の困惑が愛しいと思う。
知らない表情ばかりを次々見せられ、乾は海堂の頬に指先を這わせ、その表情に更に近づいた。
「口説くのはお一人様一回限りなんて…誰が決めたんだ?」
「………、……」
「言いたいんだ何度でも」
極軽く唇を重ねてから両腕できつく海堂を抱き締める。
繰り返し、繰り返し、その体勢で乾が囁けば。
海堂の手が乾の背のシャツを、きゅっと握り込んだのが気配で判る。
「……海堂?」
「俺は……」
「………ん…?」
少しだけ身体を離して乾が見下ろす先で、海堂は小さく息をつき、そして顔を上向けてくる。
「……………」
躊躇っても、まっすぐに。
見つめてくる目が自分を見ているということに、乾は体験したことのない深い充足感で満たされる。
きつい、眼差しは。
真摯だ。
「俺と一緒にいること、後悔させない」
「……海堂」
「そういう風に、思ってる」
「ありがとう」
「…………………」
礼なら俺が言いたいと、至極真面目な小さな声で海堂は言った。
「…………………」
心からの感謝を、焦がれるようにしたくなる程の存在は、乾の腕にあつらえられたもののように収まっている。
「好きだ……」
耐えかねたような。
呻く声音でまた繰り返し囁く乾の背を、海堂の両腕が、しっかりと抱き締め返してくる。
「俺なんかに惚れて…馬鹿だアンタ」
ぶっきらぼうな声の中に、一滴ぽつんと落とされた海堂の感情は。
一瞬で波紋を描いて水面を染めた、見目鮮やかな色インクのように乾へと伝わってくる。
甘く苦しむ海堂の含羞みの色は。
声だけでなく。
襟足の髪が零れて露になった海堂の項をも、ほんのりと甘い色に染め上げていた。
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