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How did you feel at your first kiss?
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 跡部の体温にあたたまった寝具は、近頃尋常でなく心地良い。
 神尾は寝ぼけ眼で身じろいで、その拍子に跡部の整いすぎる程に整った端整な顔を不意打ちで間近に見ることになり、今更のようにうろたえた。
「………………」
 一緒に寝てるとか信じらんね、と神尾は思う。
 今でも。
 そんなことを思いながらこうして跡部の寝顔を見つめていると、やけに現実離れした状況に自分が在る気がして、意識しないままぽつりと呟いた。
「…………いらなくなったら…上手に捨てろよな」
 優しくしたりしないといい。
 そういう時が来たら。
 もう立ち直れないくらい、未練なんか少しも残せないくらい、跡部の前にもう二度と立てないくらいにしてくれないと、自分はきっと。
「蹴り落とすぞ」
「………あと…べ…?」
「最悪なやり方で起こしやがって……」
 不機嫌極まりない、唸り声のような声を洩らして跡部が神尾を組み敷いてきた。
「何のつもりだ」
「……なんのって…」
 聞いたくせに答えさせない。
 強いキスで唇を深く塞がれた。
「…………っ…、ぅ」
 乱暴なキスは気持ちの良い寝床と寝起きの気だるさとは全く噛みあわない。
 睨み据えてくる跡部の眼差しは相当にきついし、キスも痛いくらいなのに。
 なんだろう、ほっとすると神尾は思った。
 本気で怒る跡部に、ほっとする。
「………蹴り……落とさないのか?…」
「うるさい」
「跡部……」
「俺は凄まじく腹立ってんだよ。抵抗するな」
「…………してない」
「嫌がるな」
「だから…してない」
 そんな力づくで押さえつけてこなくたって逃げない。
 脅すように言わなくたって跡部の言うこと聞くのに。
「跡部」
 眠るときに着たシャツをたくし上げられ、素肌に直接宛がわれた跡部の手は熱いのに。
 まるで寒いみたいに身体が震えた。
 大きくなっていく心音を確かめるように跡部の手が執拗に左胸の上を撫で擦ってきて、起き抜けにも関わらず神尾の鼓動はどうしようもなく乱れていった。
「捨ててくれって」
「………………」
「もう開放してくれって、頭下げられようが、泣いて頼まれようが、お前はもう逃げられねえんだよ」
「………………」
 物騒な眼差しと言葉とで、そんな風に吐き捨てられて、嬉しいなんて。
 自分はおかしいのかもしれないけれど。
 抱き締め返させてもくれない一方的な跡部を少しだけ恨めしく思って、でも神尾は。
 首筋に顔を伏せてきた跡部のキスをそこに埋められながら、握り潰されそうに拘束されている自分の手首を自身の顔の脇に見つめ、跡部の事をますます好きで、泣き出しかける。

 知り尽くせないお互いだから、何度も何度も、こうして相手に。
 キスをする、身体を繋げる、喧嘩をして、言い争って、そしてまた恋をする。
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