How did you feel at your first kiss?
丁寧なキスがゆっくりと離れていく。
神尾が目を閉じたまま小さく息をつこうとすると、不意打ちに跡部から再びのキスされて、思わず目を見開き至近距離から目線が合ってしまう。
「何が欲しい」
「……え……?…」
一言の、前と後とに。
跡部は尚も軽く神尾の唇を掠った。
神尾には、跡部の声は、抑揚がないのに、甘い音に聞こえる。
「…なに…?」
「それは俺が聞いてる」
きつい目を細めて、また端的に跡部は言った。
冷たい表情と見る人は多いと思う。
でも今の神尾にはそうは思えなくて、微かに笑んだ。
その唇を跡部がまた塞ぐ。
丁寧に。
「ン…、……」
「誕生日だろうが。何が欲しいんだ」
「……俺…の…?」
お前以外に誰がいると不機嫌に首筋を食まれて神尾は跡部の後頭部を両手で抱きかかえるようにしながら笑った。
少し不機嫌で、少し不本意で、少し焦れていて、少し拗ねているような跡部を抱き締めて、神尾はすぐに答える。
「いらない」
何もいらない、と神尾がきっぱり言うと、跡部は神尾の両手首を手のひらに包んで壁に押し付けてきた。
憮然と、そしてどこか困ったような顔をしている跡部が近づいてくる。
丁寧なキスは、丁寧すぎてどんどん深くなる。
舌を舌で弄られて、神尾は小さく喉声を漏らした。
目を閉じても、神尾は跡部の事を考えている。
跡部は神尾が何も欲しがらない時、いつもああいう顔をする。
物でも、行動でも、望まれないと不安にでも駆られるのか、乱暴な困惑を露にしてくる。
こういう時の跡部の不機嫌は、決して嫌ではなかった。
痛む手首ときついキスとに撒かれながら、神尾は、どういう風に言ったらきちんと跡部に伝わるかな、と考える。
止まないようなキスのさなかに何度も何度も考えた。
「…あと…べ……跡…、…部」
聞いて、と念じてキスされながら神尾が跡部の名前を呼ぶと、舌がもつれるような小声でも跡部は正しく拾ってくれる。
拘束の手首はそのままだったけれど、神尾は跡部を見上げて、濡れた唇に微かな笑みを浮かべた。
「新しくは、いらない」
「………………」
「誕生日…、…俺…新しいものは何もいらないから」
とらないでくれたらいいよ、と神尾は小さく呟いた。
何をだ、と跡部が顔を近づけてくるから、困ったけれど。
とても、とても困ったけれど。
赤くなる頬を自覚しながら、それでも。
じっと跡部を見据えて言葉にする。
「跡部が……俺から、跡部を、とらないでくれたら…それだけでいい…よ…」
「お前……誰にそれ言ってんだ」
「……だから跡部に言ってんの」
プレゼントはそういうのがいい、と。
続けるや否や。
神尾の羞恥心など慮る事などまるでしない跡部が神尾の唇を塞ぐ。
身体を弄る。
「ぇ…、……ちょ…っ……、と、…跡部…?……跡部?」
「お前みたいな馬鹿、見たことねえ」
苛立った鋭い語気で罵られて。
甘ったるい抱擁とがっつくキスに縛られて。
神尾は思う。
くれるのか。
くれないのか。
跡部は、神尾が欲しいプレゼントを。
どうしても神尾は聞いてみたい事なのに、どうしても跡部は言わせてくれないようだった。
神尾が目を閉じたまま小さく息をつこうとすると、不意打ちに跡部から再びのキスされて、思わず目を見開き至近距離から目線が合ってしまう。
「何が欲しい」
「……え……?…」
一言の、前と後とに。
跡部は尚も軽く神尾の唇を掠った。
神尾には、跡部の声は、抑揚がないのに、甘い音に聞こえる。
「…なに…?」
「それは俺が聞いてる」
きつい目を細めて、また端的に跡部は言った。
冷たい表情と見る人は多いと思う。
でも今の神尾にはそうは思えなくて、微かに笑んだ。
その唇を跡部がまた塞ぐ。
丁寧に。
「ン…、……」
「誕生日だろうが。何が欲しいんだ」
「……俺…の…?」
お前以外に誰がいると不機嫌に首筋を食まれて神尾は跡部の後頭部を両手で抱きかかえるようにしながら笑った。
少し不機嫌で、少し不本意で、少し焦れていて、少し拗ねているような跡部を抱き締めて、神尾はすぐに答える。
「いらない」
何もいらない、と神尾がきっぱり言うと、跡部は神尾の両手首を手のひらに包んで壁に押し付けてきた。
憮然と、そしてどこか困ったような顔をしている跡部が近づいてくる。
丁寧なキスは、丁寧すぎてどんどん深くなる。
舌を舌で弄られて、神尾は小さく喉声を漏らした。
目を閉じても、神尾は跡部の事を考えている。
跡部は神尾が何も欲しがらない時、いつもああいう顔をする。
物でも、行動でも、望まれないと不安にでも駆られるのか、乱暴な困惑を露にしてくる。
こういう時の跡部の不機嫌は、決して嫌ではなかった。
痛む手首ときついキスとに撒かれながら、神尾は、どういう風に言ったらきちんと跡部に伝わるかな、と考える。
止まないようなキスのさなかに何度も何度も考えた。
「…あと…べ……跡…、…部」
聞いて、と念じてキスされながら神尾が跡部の名前を呼ぶと、舌がもつれるような小声でも跡部は正しく拾ってくれる。
拘束の手首はそのままだったけれど、神尾は跡部を見上げて、濡れた唇に微かな笑みを浮かべた。
「新しくは、いらない」
「………………」
「誕生日…、…俺…新しいものは何もいらないから」
とらないでくれたらいいよ、と神尾は小さく呟いた。
何をだ、と跡部が顔を近づけてくるから、困ったけれど。
とても、とても困ったけれど。
赤くなる頬を自覚しながら、それでも。
じっと跡部を見据えて言葉にする。
「跡部が……俺から、跡部を、とらないでくれたら…それだけでいい…よ…」
「お前……誰にそれ言ってんだ」
「……だから跡部に言ってんの」
プレゼントはそういうのがいい、と。
続けるや否や。
神尾の羞恥心など慮る事などまるでしない跡部が神尾の唇を塞ぐ。
身体を弄る。
「ぇ…、……ちょ…っ……、と、…跡部…?……跡部?」
「お前みたいな馬鹿、見たことねえ」
苛立った鋭い語気で罵られて。
甘ったるい抱擁とがっつくキスに縛られて。
神尾は思う。
くれるのか。
くれないのか。
跡部は、神尾が欲しいプレゼントを。
どうしても神尾は聞いてみたい事なのに、どうしても跡部は言わせてくれないようだった。
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