How did you feel at your first kiss?
いつの間にか意識がなかったり、少しして目は開けたもののまだ寝てろって言われたり、何だかうとうととまどろんだ時間は随分長いように神尾は思っていたのだが、実際はたいした時間ではなかったようだ。
ふ、と瞼を開けて。
幾度目かの覚醒の時も、神尾の視界にいる跡部は変わらないままだった。
横たわって向き合って、自分を見ている。
ずっと、そうだ。
そして神尾が目にする度に、跡部は同じ表情でいる。
「………ぁ…、…と…べ」
「………………」
声が出づらくて、呼びかけてから神尾は咳払いをした。
その振動で少しだけ身体が痛む。
眉根を寄せて一瞬目を閉じた後、神尾は跡部をじっと見据えた。
ぐったりうつぶせたまま顔だけ跡部の方を向いている神尾は重い腕を懸命に持ち上げる。
跡部の髪の先に、指を寄せる。
「……のさ…ー……跡部ー……」
跡部の髪は柔らかかった。
さらりと神尾の指先から零れる。
色素の薄さは角度によってきらきらと光って見える。
「おれ…さー……」
「………………」
「…テニスでも…べんきょーでも、すごいやったら、疲れるじゃん…?……それとおんなじだと思うんだけどよぅ……」
だからさー、と神尾は力の入らない声で言った。
だから、俺見てそういう風に落ち込まないでくんねーかなー、と呟いた。
跡部の髪に触れながら。
跡部は、いつもした後に神尾の事をじっと見つめてくる。
神尾が眠っていようが、ぐったりしていようが、黙って見つめていてそこから離れない。
その目が、跡部が、神尾にはどうも、した事を落ち込んでいるように見えてならないのだ。
「誰が落ち込むか」
跡部は憮然と即答してくるけれど。
神尾にはそう見えるのだ。
本当はもっとちゃんと、自分が普段のようにしていれば。
きっと跡部はこんな顔をしないんだろうなと神尾は思う。
でも、跡部に抱かれるって相当とんでもない事なんだぜと、思わず当人に言いたくなるほどに、神尾の身体は跡部とすると卑猥な甘い熱で満たされる。
終わった後から暫く動けなくなるのは、直接身体が受けた出来事が原因というより、余韻や記憶でも神尾を雁字搦めにする跡部のやり方のせいだ。
そこのところ判ってんのかなあ、と神尾は生真面目に危惧して跡部の髪に触れていた指先で跡部の前髪をかきあげる。
「………ぁ…」
その手が跡部の手に握りこまれ、強く引き寄せられた。
横たわったまま、手繰りこまれる動きで抱き締められた。
「誰が落ち込むか。バカ」
そうやって繰り返すから神尾は笑ってしまうのだ。
そうやって拘るという事は、どうでもいい事ではないからだ。
笑う形の神尾の唇を跡部はきついキスで塞いでくるけれど。
のしかかってこられて、今度は神尾の前髪を跡部がかきあげてくる。
執着するようなやみくもな手つきで何度も髪を撫でつけられる事が、ひどく神尾を安堵させた。
「………っ…ぁ…、」
ずれた唇。
神尾の視界にある跡部の唇は濡れていて、恐らく自分のそれも同じで。
潤んだ気配が潜む口腔に、小さく神尾が喉を鳴らす。
「ん、……」
すぐに塞がれて。
「………ぅ」
探られて。
「…、っ……は、」
開放と。
「く……、……ん」
拘束と。
「………ぁ…と…、…べ…」
「………………」
「跡…、………跡部…、」
「呼ぶな」
「…跡部…、…」
「呼ぶなっつってんだろうが」
荒い口調を紡ぐ唇。
神尾の方から近づいていった。
腕を伸ばす。
首にしがみつく。
神尾から跡部に口付けた後、跡部の首筋に神尾は顔を埋めた。
耳元近くで呻き声がした。
自分の名前だ、と神尾がそれに気づいた時には跡部の手のひらがすでに神尾の素肌を弄っていた。
「人の唆し方なんざ覚えんじゃねえよ」
「…、ァ……、…な…に…?」
「……んな事ばっかうまくなりやがって」
ふざけんな、と悪態ごと唇にキスをぶつけられる。
跡部の手で、的確な、濃すぎる愉悦をまた一から数えなおすように引き出されていきながら、神尾はぼんやりと、どうしてまたこの状況になっているのか不思議に思う。
だって確か、すごく何度も、して。
終わったんじゃなかったか。
「神尾」
跡部が何を言って。
「………っ…ァ、」
自分が何を言って。
こうなっているのか。
それを思い返そうとしても、そんな余裕など、もう欠片も与えられなかった。
神尾は跡部の髪を握り締めて、口腔深くまで貪られるようなキスを受け止めるので、精一杯だったのだ。
余裕のなさは不思議と跡部からも伝わってきていたので。
神尾は安心しきって、濃い熱に撒かれた。
ふ、と瞼を開けて。
幾度目かの覚醒の時も、神尾の視界にいる跡部は変わらないままだった。
横たわって向き合って、自分を見ている。
ずっと、そうだ。
そして神尾が目にする度に、跡部は同じ表情でいる。
「………ぁ…、…と…べ」
「………………」
声が出づらくて、呼びかけてから神尾は咳払いをした。
その振動で少しだけ身体が痛む。
眉根を寄せて一瞬目を閉じた後、神尾は跡部をじっと見据えた。
ぐったりうつぶせたまま顔だけ跡部の方を向いている神尾は重い腕を懸命に持ち上げる。
跡部の髪の先に、指を寄せる。
「……のさ…ー……跡部ー……」
跡部の髪は柔らかかった。
さらりと神尾の指先から零れる。
色素の薄さは角度によってきらきらと光って見える。
「おれ…さー……」
「………………」
「…テニスでも…べんきょーでも、すごいやったら、疲れるじゃん…?……それとおんなじだと思うんだけどよぅ……」
だからさー、と神尾は力の入らない声で言った。
だから、俺見てそういう風に落ち込まないでくんねーかなー、と呟いた。
跡部の髪に触れながら。
跡部は、いつもした後に神尾の事をじっと見つめてくる。
神尾が眠っていようが、ぐったりしていようが、黙って見つめていてそこから離れない。
その目が、跡部が、神尾にはどうも、した事を落ち込んでいるように見えてならないのだ。
「誰が落ち込むか」
跡部は憮然と即答してくるけれど。
神尾にはそう見えるのだ。
本当はもっとちゃんと、自分が普段のようにしていれば。
きっと跡部はこんな顔をしないんだろうなと神尾は思う。
でも、跡部に抱かれるって相当とんでもない事なんだぜと、思わず当人に言いたくなるほどに、神尾の身体は跡部とすると卑猥な甘い熱で満たされる。
終わった後から暫く動けなくなるのは、直接身体が受けた出来事が原因というより、余韻や記憶でも神尾を雁字搦めにする跡部のやり方のせいだ。
そこのところ判ってんのかなあ、と神尾は生真面目に危惧して跡部の髪に触れていた指先で跡部の前髪をかきあげる。
「………ぁ…」
その手が跡部の手に握りこまれ、強く引き寄せられた。
横たわったまま、手繰りこまれる動きで抱き締められた。
「誰が落ち込むか。バカ」
そうやって繰り返すから神尾は笑ってしまうのだ。
そうやって拘るという事は、どうでもいい事ではないからだ。
笑う形の神尾の唇を跡部はきついキスで塞いでくるけれど。
のしかかってこられて、今度は神尾の前髪を跡部がかきあげてくる。
執着するようなやみくもな手つきで何度も髪を撫でつけられる事が、ひどく神尾を安堵させた。
「………っ…ぁ…、」
ずれた唇。
神尾の視界にある跡部の唇は濡れていて、恐らく自分のそれも同じで。
潤んだ気配が潜む口腔に、小さく神尾が喉を鳴らす。
「ん、……」
すぐに塞がれて。
「………ぅ」
探られて。
「…、っ……は、」
開放と。
「く……、……ん」
拘束と。
「………ぁ…と…、…べ…」
「………………」
「跡…、………跡部…、」
「呼ぶな」
「…跡部…、…」
「呼ぶなっつってんだろうが」
荒い口調を紡ぐ唇。
神尾の方から近づいていった。
腕を伸ばす。
首にしがみつく。
神尾から跡部に口付けた後、跡部の首筋に神尾は顔を埋めた。
耳元近くで呻き声がした。
自分の名前だ、と神尾がそれに気づいた時には跡部の手のひらがすでに神尾の素肌を弄っていた。
「人の唆し方なんざ覚えんじゃねえよ」
「…、ァ……、…な…に…?」
「……んな事ばっかうまくなりやがって」
ふざけんな、と悪態ごと唇にキスをぶつけられる。
跡部の手で、的確な、濃すぎる愉悦をまた一から数えなおすように引き出されていきながら、神尾はぼんやりと、どうしてまたこの状況になっているのか不思議に思う。
だって確か、すごく何度も、して。
終わったんじゃなかったか。
「神尾」
跡部が何を言って。
「………っ…ァ、」
自分が何を言って。
こうなっているのか。
それを思い返そうとしても、そんな余裕など、もう欠片も与えられなかった。
神尾は跡部の髪を握り締めて、口腔深くまで貪られるようなキスを受け止めるので、精一杯だったのだ。
余裕のなさは不思議と跡部からも伝わってきていたので。
神尾は安心しきって、濃い熱に撒かれた。
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