How did you feel at your first kiss?
跡部の家に行くなり、二の腕掴まれて部屋に引っ張られて行って。
ベッドに景気よく放り投げられたものだから、神尾もさすがに何事かと慌てた。
跡部は唇の端で、薄く笑んでいた。
「な、…………なんだよぅ…?」
思わず身構えた神尾に、跡部はそれは横柄に、そしてそれは綺麗な仕草で顎を突き出した。
促す仕草に神尾はベッドを見下ろして、おおっ!と声をあげた。
「うわ、なにこれ…!」
神尾が乗り上げた事で、僅かにずれた布団から見えているもの。
思わず上掛けを剥いでしまうと、真っ白な敷毛布が現れた。
「すっげ…! ふわふわじゃん…!」
やわらかい毛の感触は、手のひらでとろけそうだった。
「ホワイトクラウド敷。羊毛の毛足の長さは三センチ」
「あったかいなー…これ……うわ……めちゃくちゃ気持ちいいー……」
跡部は何やら説明をしていたが、神尾にしてみれば実際体感している感触に勝るものはない。
思わず横になると、身体がやわらかいもので温かく包まれてすばらしく気持ちが良かった。
神尾が羊毛に埋めた片頬を摺り寄せていると、跡部が実に判りやすく不機嫌になっていくのが判って、神尾は思わず笑ってしまった。
「お前が俺をここに投げたんだろ」
「俺のいないベッドで気持いいって言いやがったか。てめえは」
「え…………」
そういう話かと神尾が息を詰まらせると、跡部はベッドの上に片膝を乗り上げてきた。
「跡部、…?…」
「………………」
そのままの体勢で、元から二つ緩まっていた胸元のシャツの釦を尚も外す跡部を見上げながら、神尾は恐る恐る身体を起こしかけ、阻まれた。
「………っ…!………あと…、…」
組み敷かれるように、跡部の身体が被さってくる。
「ちょ……、…ちょっとまて…っ…………待て待て待て跡部っ」
「犬じゃねんだよ俺様は。何だその言い草は」
思いっきり至近距離で見下ろされる。
おそろしくきれいな顔をしてると、今更な事をつい思ってしまう神尾だったが、いやいやそうでなく、と首をぶんぶん左右に振った。
「跡部……おい、…これ……ここ、まず、…っ…」
「なに言ってんだがさっぱり判らねえな」
判っていない筈がない。
跡部なのである。
神尾が気づく事に、跡部が気づかない訳がない。
「……跡部ー…!」
神尾は焦った。
長い毛足の柔らかな毛布に背面を埋められる感触は本当に心地良かった。
良かったからこそ、ここでは出来ないと思うのだ。
こんなに繊細でふわふわで暖かく柔らかいものを。
どうやって洗えばいいのか神尾には検討もつかない。
洗わなければならなくなるであろう状況を思えば顔も熱くなってくるし、何より跡部の腕が、横たわって向かいあっている神尾の身体の上に回されてきて、近づく身体にどうしようもなくどぎまぎした。
「…………ったく……縮こまってんじゃねえよ」
「………へ…?」
たいして痛くもなく、ぺしっと額を叩かれる。
神尾は目を瞠った。
「…跡部?」
「今は、まだ抱かねえよ」
いちゃいちゃするだけだと跡部は言った。
「…………………」
ふわふわの敷布のベッドの上。
横たわって、くっついて、そして。
「…………いちゃいちゃ…って……あ、…跡部…?…」
「何笑ってんだよ。てめえは」
「だ、………だ……って…、……」
いちゃいちゃって。
跡部の口から出た言葉だとは思えなかった。
おかしくて、笑えて、そしてどうしようもなく擽ったくも甘ったるい。
肩を震わせて笑ってしまう神尾を、跡部の腕が強く抱きこんでくる。
「それならこういうのは何て言うんだ」
「………ん…ー……」
頭も抱きこまれた。
跡部の腕に後頭部を包まれて、釦の大半が外れている跡部の胸元に引き寄せられる。
「…………べたべた?」
「いちゃいちゃと変わらねえだろ」
どっちもどっちだと言う声と一緒に、眦に唇が押し当てられてきた。
跡部の声は冷たいくらいの毒づきなのに、触れてきた唇は微笑みの形をしている。
「…………俺が…寒いって言うから…?」
「別に。俺が必要なだけだ」
「そっか………」
ありがとな、という言葉は口にはしなかった。
代わりに神尾は、先程は羊毛の敷布に擦り付けた頬を、今は跡部の胸元に摺り寄せた。
気持ちが良い、その一番は、ここだからと。
伝わればいい。
伝わるように。
跡部の手が、すぐに神尾の後ろ髪をひどく優しげな手で撫でたから、きちんとそれは伝わっている。
「跡部…」」
それならばもう。
後はふわふわの敷毛布の上で。
いちゃいちゃと、べたべたと、過ごすのみだ。
ベッドに景気よく放り投げられたものだから、神尾もさすがに何事かと慌てた。
跡部は唇の端で、薄く笑んでいた。
「な、…………なんだよぅ…?」
思わず身構えた神尾に、跡部はそれは横柄に、そしてそれは綺麗な仕草で顎を突き出した。
促す仕草に神尾はベッドを見下ろして、おおっ!と声をあげた。
「うわ、なにこれ…!」
神尾が乗り上げた事で、僅かにずれた布団から見えているもの。
思わず上掛けを剥いでしまうと、真っ白な敷毛布が現れた。
「すっげ…! ふわふわじゃん…!」
やわらかい毛の感触は、手のひらでとろけそうだった。
「ホワイトクラウド敷。羊毛の毛足の長さは三センチ」
「あったかいなー…これ……うわ……めちゃくちゃ気持ちいいー……」
跡部は何やら説明をしていたが、神尾にしてみれば実際体感している感触に勝るものはない。
思わず横になると、身体がやわらかいもので温かく包まれてすばらしく気持ちが良かった。
神尾が羊毛に埋めた片頬を摺り寄せていると、跡部が実に判りやすく不機嫌になっていくのが判って、神尾は思わず笑ってしまった。
「お前が俺をここに投げたんだろ」
「俺のいないベッドで気持いいって言いやがったか。てめえは」
「え…………」
そういう話かと神尾が息を詰まらせると、跡部はベッドの上に片膝を乗り上げてきた。
「跡部、…?…」
「………………」
そのままの体勢で、元から二つ緩まっていた胸元のシャツの釦を尚も外す跡部を見上げながら、神尾は恐る恐る身体を起こしかけ、阻まれた。
「………っ…!………あと…、…」
組み敷かれるように、跡部の身体が被さってくる。
「ちょ……、…ちょっとまて…っ…………待て待て待て跡部っ」
「犬じゃねんだよ俺様は。何だその言い草は」
思いっきり至近距離で見下ろされる。
おそろしくきれいな顔をしてると、今更な事をつい思ってしまう神尾だったが、いやいやそうでなく、と首をぶんぶん左右に振った。
「跡部……おい、…これ……ここ、まず、…っ…」
「なに言ってんだがさっぱり判らねえな」
判っていない筈がない。
跡部なのである。
神尾が気づく事に、跡部が気づかない訳がない。
「……跡部ー…!」
神尾は焦った。
長い毛足の柔らかな毛布に背面を埋められる感触は本当に心地良かった。
良かったからこそ、ここでは出来ないと思うのだ。
こんなに繊細でふわふわで暖かく柔らかいものを。
どうやって洗えばいいのか神尾には検討もつかない。
洗わなければならなくなるであろう状況を思えば顔も熱くなってくるし、何より跡部の腕が、横たわって向かいあっている神尾の身体の上に回されてきて、近づく身体にどうしようもなくどぎまぎした。
「…………ったく……縮こまってんじゃねえよ」
「………へ…?」
たいして痛くもなく、ぺしっと額を叩かれる。
神尾は目を瞠った。
「…跡部?」
「今は、まだ抱かねえよ」
いちゃいちゃするだけだと跡部は言った。
「…………………」
ふわふわの敷布のベッドの上。
横たわって、くっついて、そして。
「…………いちゃいちゃ…って……あ、…跡部…?…」
「何笑ってんだよ。てめえは」
「だ、………だ……って…、……」
いちゃいちゃって。
跡部の口から出た言葉だとは思えなかった。
おかしくて、笑えて、そしてどうしようもなく擽ったくも甘ったるい。
肩を震わせて笑ってしまう神尾を、跡部の腕が強く抱きこんでくる。
「それならこういうのは何て言うんだ」
「………ん…ー……」
頭も抱きこまれた。
跡部の腕に後頭部を包まれて、釦の大半が外れている跡部の胸元に引き寄せられる。
「…………べたべた?」
「いちゃいちゃと変わらねえだろ」
どっちもどっちだと言う声と一緒に、眦に唇が押し当てられてきた。
跡部の声は冷たいくらいの毒づきなのに、触れてきた唇は微笑みの形をしている。
「…………俺が…寒いって言うから…?」
「別に。俺が必要なだけだ」
「そっか………」
ありがとな、という言葉は口にはしなかった。
代わりに神尾は、先程は羊毛の敷布に擦り付けた頬を、今は跡部の胸元に摺り寄せた。
気持ちが良い、その一番は、ここだからと。
伝わればいい。
伝わるように。
跡部の手が、すぐに神尾の後ろ髪をひどく優しげな手で撫でたから、きちんとそれは伝わっている。
「跡部…」」
それならばもう。
後はふわふわの敷毛布の上で。
いちゃいちゃと、べたべたと、過ごすのみだ。
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