How did you feel at your first kiss?
何につけ、神尾は跡部に怒られたり呆れられたり馬鹿にされたりするのだ。
何で、これだけの事を言われたりされたりして嫌いにならないのか、自分自身が不思議でならない。
今だって。
「……っ……、ぅ…」
「………………」
今だって、あれ、何だっけ?と、神尾はぼうっとした頭の中で迷った。
思えば考え事などとても出来ない状況にある神尾は、どんどん濃密さを増してくる接触に、せいぜい息を詰まらせているのが精一杯だった。
強引で甘ったるいキスは随分長い。
何だか思い出せないのだけれど、今しがたまで散々に毒舌をふるっていた、その口と同じ口だとは到底思えないほど。
キスは、神尾がじわじわと赤くなり、次第に目を潤ませて、思考も麻痺していく程に。
強くて、深くて、濃くて、丁寧で。
そう、丁寧で、丁寧で、本当に丁寧で。
何だかもう、ずっと、ずっと、こんな状況だ。
強引だったものがいつの間にかすごく優しくなっていて、ふんわりと唇を覆い、やさしくあまい舌が神尾の口腔を撫でていく。
神尾の右肩をかるく包んでいる跡部の左手も温かい。
あれ、何か、すごく、やさしくないか、と神尾が戸惑った時だ。
唇が離され、跡部の声が間近から聞こえてきた。
「………瞬きするな。擽ってえんだよ」
「…、え……?…」
当たる、と至近距離で跡部が片目をすがめている。
そちら側の頬に、神尾の睫毛が当たると言われているらしかった。
その口調に、ほんの少し、キスをする前の跡部を思い出す。
どういえば、何か、やけに絡んでくるみたいなこと言い出したんだよな、と神尾が跡部の言動を思い返していると、跡部は結局神尾に返事もさせず、また。
「…、ん」
角度をつけて、唇を重ねてきた。
啄み、深く塞がれ、離れて、ひらかれて。
何かされる度、神尾は小さく息を詰まらせて震えた。
跡部の指先が神尾の髪をいじり、舌が舌をくすぐり、とろりと呼吸が交ざる。
泣きたい訳ではないのに目がじわっと潤んできて、神尾がどうしたらいいのか判らなくなった瞬間をさらうように跡部が両手で神尾を抱き締めてきた。
「…………ふ…っ、…ぅ」
「神尾」
すっぽりと全身を包むように抱き締められ、髪に口づけられる。
「小さくなってんじゃねえよ」
笑い交じりにからかわれて耳を唇で辿られて。
跡部の指摘通り身体を竦ませてしまっていた神尾は、抱き締められるまま、ぎこちなく身じろいだ。
「震えんな。体温上げんな。エロい声出すな」
「…、し…てな…、」
からかっているのか怒っているのか、つかみづらい声で跡部が矢継ぎ早に言う。
どうリアクションしていいのかまるで判らず、神尾は戸惑ってしまう。
服の上から跡部に身体を撫で回されて、足元がふらついた。
「ちょ、……っ…、ゃ、…っ、ッ」
「するなっつーことばっかしやがるな、てめえは…」
「ん…っ……、…く……」
足の間に強引に跡部の片足が入れられ、腰を鷲掴みにされる。
それと同時に耳のすぐ下を舐められて、吸われて、神尾はびくびくと震えながら跡部の背中のシャツに取り縋る。
「っ…ゃ……ぁ……」
「………っとに、よぉ…」
むかつく、と。
本当に怒っているのか、本当にからかっているだけなのか、判別しがたい口調で吐き捨てた跡部が、手酷く腿で神尾の両足の狭間を押し上げ、神尾の両手首を部屋の壁に押し付け、唇をきつく貪ってくる。
やっぱり、こうして。
跡部は怒ったり呆れたり馬鹿にしてきたり、するのに。
神尾はそうされながら、何故か、甘ったるいおかしな感情を詰め込まれている気分になる。
唾液が撓むようなやり方でキスが終わって、神尾が朦朧と跡部のことを考えていると、跡部も、何だか似たような事を言い出した。
「お前の頭の中身があまりにも空っぽすぎて、詰め込んでも詰め込んでも、欠片も理解しねえのが本当に腹立つんだよ」
凄むような目と、口調と。
怖くはないけれど、戸惑って、神尾は少しだけ瞳を潤ませる。
泣いた訳ではなく、それこそキスがあまりにも凄すぎたのだ。
「気づけってのが、無理だな。てめえには」
その空っぽの頭でも理解できるように言ってやる、と尊大に宣言されて。
神尾は初めて、言うなれば告白のようなもの、を跡部から浴びせかけられた。
「あとべ、じゅんばん、ヘン…くない…?」
何だかもう、する事はしてるし。
キスだけじゃなくて、全部、冬にはもうあらゆることを跡部にされまくっているのに。
春になって、桜も咲きそうな今時分になって、今、それ言う?と神尾はキスで切れ切れの息の下、言って、笑った。
でも、ずっと、跡部もそうだったら嬉しいかも、と神尾は思っていたので。
言われたら、嬉しかったので。
「俺も、ずうっと、好きだったけど?」
そう言ってやったら、跡部は。
神尾の初めて見る跡部になった。
神尾の初めて知る跡部になった。
桜の季節の話だ。
何で、これだけの事を言われたりされたりして嫌いにならないのか、自分自身が不思議でならない。
今だって。
「……っ……、ぅ…」
「………………」
今だって、あれ、何だっけ?と、神尾はぼうっとした頭の中で迷った。
思えば考え事などとても出来ない状況にある神尾は、どんどん濃密さを増してくる接触に、せいぜい息を詰まらせているのが精一杯だった。
強引で甘ったるいキスは随分長い。
何だか思い出せないのだけれど、今しがたまで散々に毒舌をふるっていた、その口と同じ口だとは到底思えないほど。
キスは、神尾がじわじわと赤くなり、次第に目を潤ませて、思考も麻痺していく程に。
強くて、深くて、濃くて、丁寧で。
そう、丁寧で、丁寧で、本当に丁寧で。
何だかもう、ずっと、ずっと、こんな状況だ。
強引だったものがいつの間にかすごく優しくなっていて、ふんわりと唇を覆い、やさしくあまい舌が神尾の口腔を撫でていく。
神尾の右肩をかるく包んでいる跡部の左手も温かい。
あれ、何か、すごく、やさしくないか、と神尾が戸惑った時だ。
唇が離され、跡部の声が間近から聞こえてきた。
「………瞬きするな。擽ってえんだよ」
「…、え……?…」
当たる、と至近距離で跡部が片目をすがめている。
そちら側の頬に、神尾の睫毛が当たると言われているらしかった。
その口調に、ほんの少し、キスをする前の跡部を思い出す。
どういえば、何か、やけに絡んでくるみたいなこと言い出したんだよな、と神尾が跡部の言動を思い返していると、跡部は結局神尾に返事もさせず、また。
「…、ん」
角度をつけて、唇を重ねてきた。
啄み、深く塞がれ、離れて、ひらかれて。
何かされる度、神尾は小さく息を詰まらせて震えた。
跡部の指先が神尾の髪をいじり、舌が舌をくすぐり、とろりと呼吸が交ざる。
泣きたい訳ではないのに目がじわっと潤んできて、神尾がどうしたらいいのか判らなくなった瞬間をさらうように跡部が両手で神尾を抱き締めてきた。
「…………ふ…っ、…ぅ」
「神尾」
すっぽりと全身を包むように抱き締められ、髪に口づけられる。
「小さくなってんじゃねえよ」
笑い交じりにからかわれて耳を唇で辿られて。
跡部の指摘通り身体を竦ませてしまっていた神尾は、抱き締められるまま、ぎこちなく身じろいだ。
「震えんな。体温上げんな。エロい声出すな」
「…、し…てな…、」
からかっているのか怒っているのか、つかみづらい声で跡部が矢継ぎ早に言う。
どうリアクションしていいのかまるで判らず、神尾は戸惑ってしまう。
服の上から跡部に身体を撫で回されて、足元がふらついた。
「ちょ、……っ…、ゃ、…っ、ッ」
「するなっつーことばっかしやがるな、てめえは…」
「ん…っ……、…く……」
足の間に強引に跡部の片足が入れられ、腰を鷲掴みにされる。
それと同時に耳のすぐ下を舐められて、吸われて、神尾はびくびくと震えながら跡部の背中のシャツに取り縋る。
「っ…ゃ……ぁ……」
「………っとに、よぉ…」
むかつく、と。
本当に怒っているのか、本当にからかっているだけなのか、判別しがたい口調で吐き捨てた跡部が、手酷く腿で神尾の両足の狭間を押し上げ、神尾の両手首を部屋の壁に押し付け、唇をきつく貪ってくる。
やっぱり、こうして。
跡部は怒ったり呆れたり馬鹿にしてきたり、するのに。
神尾はそうされながら、何故か、甘ったるいおかしな感情を詰め込まれている気分になる。
唾液が撓むようなやり方でキスが終わって、神尾が朦朧と跡部のことを考えていると、跡部も、何だか似たような事を言い出した。
「お前の頭の中身があまりにも空っぽすぎて、詰め込んでも詰め込んでも、欠片も理解しねえのが本当に腹立つんだよ」
凄むような目と、口調と。
怖くはないけれど、戸惑って、神尾は少しだけ瞳を潤ませる。
泣いた訳ではなく、それこそキスがあまりにも凄すぎたのだ。
「気づけってのが、無理だな。てめえには」
その空っぽの頭でも理解できるように言ってやる、と尊大に宣言されて。
神尾は初めて、言うなれば告白のようなもの、を跡部から浴びせかけられた。
「あとべ、じゅんばん、ヘン…くない…?」
何だかもう、する事はしてるし。
キスだけじゃなくて、全部、冬にはもうあらゆることを跡部にされまくっているのに。
春になって、桜も咲きそうな今時分になって、今、それ言う?と神尾はキスで切れ切れの息の下、言って、笑った。
でも、ずっと、跡部もそうだったら嬉しいかも、と神尾は思っていたので。
言われたら、嬉しかったので。
「俺も、ずうっと、好きだったけど?」
そう言ってやったら、跡部は。
神尾の初めて見る跡部になった。
神尾の初めて知る跡部になった。
桜の季節の話だ。
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