How did you feel at your first kiss?
不動峰が立海大に負けた試合、その内容が。
跡部にはひどく気に入らないもののようだった。
ビデオ見たけどな、と冷たい声で切り出してきた跡部に、神尾を呼びつけられた。
あの試合での自分の不甲斐なさはきりなく神尾の心を巣食っていたから、正直今跡部に会うのは辛かった。
まだ神尾自身、自分の感情に制御がきかないから。
何か致命的な間違いを起こすような取り乱し方を自分がしてしまうのではないかと、神尾はそれが怖かった。
「…泣け」
「……っ……ぁ………ぅ」
身体の深いところで、ぐいっと揺すられて、喉が鳴る。
「ひ……ぁ…っ……」
跡部は相当不機嫌で、最初から乱暴で。
だから却っていつもみたいには泣けなかった。
いつもは。
跡部に触れられると神尾は壊れたように泣く事が大半で。
感情が高まっただけでも泣いたし、跡部に抱かれて痛くてもよくても泣いた。
「泣けって言ってんだろ」
「…ゃ……、……ぃ…ャ……、っ、ぁ…ぅ、っン」
もう先なんかないのに、それでも強く強く押し込まれてきて喉が戦慄く。
「……ッん」
呼びつけられたこの部屋で。
顔を合わせるなり跡部が言った台詞で神尾は涙も凍えたのだと思う。
『何だよあの試合』
吐き捨てるような跡部の声と表情が、判ってはいても神尾をボロボロにした。
「神尾」
「……ひ…」
「…………無理矢理泣かせろって?」
「……、……、……っ………ぁっ…ぁ…っ」
身体の中がどうなっているのかと怯えながら、神尾は跡部の刻む無茶な律動を全部飲み込んで顔を強張らせた。
苛つく跡部の剣呑とした気配に刺されて、顔を背けて唇を噛む。
「お前が……」
「……ァ……く……ぅ…っ…ん…っ…」
「今どれだけ辛いか判ってる」
「ゃ………、ぅ、…跡…部……っ…」
苦く呻くような跡部の声が、神尾の中の何かをほぐす。
何かをとかす。
「俺にだけ見せてたツラじゃねーのかよ」
「………ぇ…?……、…ぁ……と、べ?」
「ああ?」
凄んでガラの悪い声なのに、綺麗な顔は少しも下品にならない。
神尾は溺れた水中で外の世界を探るように喘いだ。
「おい。聞いてんのか」
噛みつかれ、貪られるキスに延々唇を塞がれた後、神尾は小さく息をつぎながらしゃくりあげて泣き出した。
「俺じゃなくても、ぐちゃぐちゃに泣いたそんなツラを見せんのかお前は」
「……ふ……っ…ぅ…っ、ぁ…」
「くそったれ………あんなビデオ、全部、」
「…………ん…ッ」
舌をねじ込まれるキスで。
跡部の言葉はそこで途切れる。
神尾の口腔に舌と一緒に埋め込まれる。
「……っ……ン、」
跡部の悋気の意味を知って神尾は涙が止まらなくなる。
そんな自分がバカみたいだと思うけれど。
本当に。
「あとべ……」
「いいか。二度と泣くな」
「……………」
「俺のいない所であんなツラ二度とさらすな」
優しくない。
言葉だって仕草だって。
跡部は。
「……………」
でも神尾に。
一番優しい。
今の跡部は、神尾に一番。
優しい。
「試合が終わった後でも負けたくなかった」
負けた後も、負けたくないままだった。
その気持ちだけが強すぎて、だから悔しいとか哀しいとかそういう意味でなく、あんなに泣いたのだ。
跡部が神尾の前髪を荒くかきあげ、額から頭部へと強く撫で付けながら、こめかみに口付けてくる。
「………………」
跡部の喉に口付け返して、神尾は身体の中でも跡部を抱き締める。
そうすることで背筋を這い上がって、脳天まで突き上がってきた刺激に。
泣き声が咽び泣きへと繋がっていく。
跡部が息を詰めて畳み込んでくる。
立て続けの揺さぶりに振り回されるようにしながら神尾は涙に濡れそぼった目で跡部を探した。
「跡…部…、…っ…」
「……、…ッ…」
目が合うなり跡部の端正な顔が快感に歪むのを目の当たりにして。
神尾は自分の涙が。
跡部にとって何らかの意味がある事を知る。
見飽きているんだろうとばかり思っていたのに。
跡部の前で神尾は泣いてばかりいたから。
それなのに、見飽きてないだけでなく、神尾の涙さえ束縛するような暴君の言葉を。
嬉しいと思った。
神尾は。
「…………………」
そうして、そう思って零れたこの涙は。
純度の高い、跡部の為だけの涙だった。
跡部にはひどく気に入らないもののようだった。
ビデオ見たけどな、と冷たい声で切り出してきた跡部に、神尾を呼びつけられた。
あの試合での自分の不甲斐なさはきりなく神尾の心を巣食っていたから、正直今跡部に会うのは辛かった。
まだ神尾自身、自分の感情に制御がきかないから。
何か致命的な間違いを起こすような取り乱し方を自分がしてしまうのではないかと、神尾はそれが怖かった。
「…泣け」
「……っ……ぁ………ぅ」
身体の深いところで、ぐいっと揺すられて、喉が鳴る。
「ひ……ぁ…っ……」
跡部は相当不機嫌で、最初から乱暴で。
だから却っていつもみたいには泣けなかった。
いつもは。
跡部に触れられると神尾は壊れたように泣く事が大半で。
感情が高まっただけでも泣いたし、跡部に抱かれて痛くてもよくても泣いた。
「泣けって言ってんだろ」
「…ゃ……、……ぃ…ャ……、っ、ぁ…ぅ、っン」
もう先なんかないのに、それでも強く強く押し込まれてきて喉が戦慄く。
「……ッん」
呼びつけられたこの部屋で。
顔を合わせるなり跡部が言った台詞で神尾は涙も凍えたのだと思う。
『何だよあの試合』
吐き捨てるような跡部の声と表情が、判ってはいても神尾をボロボロにした。
「神尾」
「……ひ…」
「…………無理矢理泣かせろって?」
「……、……、……っ………ぁっ…ぁ…っ」
身体の中がどうなっているのかと怯えながら、神尾は跡部の刻む無茶な律動を全部飲み込んで顔を強張らせた。
苛つく跡部の剣呑とした気配に刺されて、顔を背けて唇を噛む。
「お前が……」
「……ァ……く……ぅ…っ…ん…っ…」
「今どれだけ辛いか判ってる」
「ゃ………、ぅ、…跡…部……っ…」
苦く呻くような跡部の声が、神尾の中の何かをほぐす。
何かをとかす。
「俺にだけ見せてたツラじゃねーのかよ」
「………ぇ…?……、…ぁ……と、べ?」
「ああ?」
凄んでガラの悪い声なのに、綺麗な顔は少しも下品にならない。
神尾は溺れた水中で外の世界を探るように喘いだ。
「おい。聞いてんのか」
噛みつかれ、貪られるキスに延々唇を塞がれた後、神尾は小さく息をつぎながらしゃくりあげて泣き出した。
「俺じゃなくても、ぐちゃぐちゃに泣いたそんなツラを見せんのかお前は」
「……ふ……っ…ぅ…っ、ぁ…」
「くそったれ………あんなビデオ、全部、」
「…………ん…ッ」
舌をねじ込まれるキスで。
跡部の言葉はそこで途切れる。
神尾の口腔に舌と一緒に埋め込まれる。
「……っ……ン、」
跡部の悋気の意味を知って神尾は涙が止まらなくなる。
そんな自分がバカみたいだと思うけれど。
本当に。
「あとべ……」
「いいか。二度と泣くな」
「……………」
「俺のいない所であんなツラ二度とさらすな」
優しくない。
言葉だって仕草だって。
跡部は。
「……………」
でも神尾に。
一番優しい。
今の跡部は、神尾に一番。
優しい。
「試合が終わった後でも負けたくなかった」
負けた後も、負けたくないままだった。
その気持ちだけが強すぎて、だから悔しいとか哀しいとかそういう意味でなく、あんなに泣いたのだ。
跡部が神尾の前髪を荒くかきあげ、額から頭部へと強く撫で付けながら、こめかみに口付けてくる。
「………………」
跡部の喉に口付け返して、神尾は身体の中でも跡部を抱き締める。
そうすることで背筋を這い上がって、脳天まで突き上がってきた刺激に。
泣き声が咽び泣きへと繋がっていく。
跡部が息を詰めて畳み込んでくる。
立て続けの揺さぶりに振り回されるようにしながら神尾は涙に濡れそぼった目で跡部を探した。
「跡…部…、…っ…」
「……、…ッ…」
目が合うなり跡部の端正な顔が快感に歪むのを目の当たりにして。
神尾は自分の涙が。
跡部にとって何らかの意味がある事を知る。
見飽きているんだろうとばかり思っていたのに。
跡部の前で神尾は泣いてばかりいたから。
それなのに、見飽きてないだけでなく、神尾の涙さえ束縛するような暴君の言葉を。
嬉しいと思った。
神尾は。
「…………………」
そうして、そう思って零れたこの涙は。
純度の高い、跡部の為だけの涙だった。
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