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How did you feel at your first kiss?
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 意識がなくても流れる液体。
 自失してか、眠りに落ちたか、動かない、自失している身体から、液体は流れている。
「…………宍戸さん…」
 涙のように、こめかみから伝う汗の行方に指先を宛がって。
 濡れた唇を浅く塞ぐ。
 宍戸が快楽を溶いて吐き出す間も手の中から逃がさなかった先から、鳳が退いた四肢の狭間から、零れるように、まだ流れていくもの。
 宍戸の身体の液体の、行き先全部に目をやって、そして指や唇を寄せ、鳳も自分の身体を流れていく液体を体感する。
「…………………」
 やわらかな舌からも、まだ啜るように濡れたものを奪ってしまう。
 身じろぐ事無く投げ出されている細い肢体のあちこちに、流れる液体だけが生々しくて。
 目を閉じたままの静かな宍戸の顔に数回キスを落としながら、鳳は宍戸の髪をそっと撫でた。
 汗で冷たくなった黒髪は少し湿っていて、しんなりと、とろけるように柔らかかった。
「つらいこと、なにもないといいんだけど……」
 呟く鳳の声は小さい。
 欲しいままに暴いてしまった後、こうして意識のない宍戸を腕に抱いていると。
 感情が募りすぎて苦しくなる。
「…………………」
 宍戸の示す先行きに、どうしたって目が行って、気が行って、本人は導きとも思っていないくらいの些細な出来事に鳳はどうしようもなく惹かれて、縋って、追いかけて。
「………そういうのも…つらくさせてないといいんだけど……駄目かな…宍戸さん」
 抑制がきかなくなる。
 止め処なく、ただひたすらに欲しいままだ。
 今までも、今も、これからも。
「おまえ、うるさい……」
「……………、……」
 横たわる宍戸を腕をついて見下ろし、その髪に触れていた鳳の手がぎくりと止まる。
 微かに動いた唇からの掠れ声。
 宍戸の双瞳が、静かにひらいていく。
「……宍戸さ…」
 宍戸は眉根を寄せていた。
「………気失うくらい…よくさせといて、あとから何を耳元で…ぐだぐだと…」
「………………」
 囁かれた言葉に鳳は絶句する。
 宍戸は気だるげに片腕を目元をこすり、乱れた前髪の隙間から、鳳を見据えた。
「頭おかしくなるくらい俺をよくさせて」
「……、…宍戸さん…?」
「しけたこと言ってんじゃねえよ……」
 不機嫌そうに見えた宍戸だったが、持ち上げた片腕を鳳の首に絡めた。
 宍戸の腕に引き寄せられる形で、鳳は宍戸からのキスを受ける。
「…………………」
 重なるだけのキスにあやされて、結局鳳の方からもその唇を貪った。
 深く、深く、口づけあう。
 濡れた粘膜を寄せ合って、呼吸で温めて。
 互いの唇の合間で、体液が、また滴って、繋がって。
 二人で行く何処かへと、それは流れていく。
 過たず、間違わず、二人の為の何処かにだ。

 導き助けること。
 誘い出すこと。
 いつでも誘液は彼らの中に満ちていて。
 いつでも望む先、思わぬ先に、進んでいける。

 導き、助けて、誘い出して。
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